ファッション

15秒動画で見る2019-20年秋冬パリコレのハイライト 「ギャルソン」、「サカイ」、「アンリアレイジ」

 2019-20年秋冬ウィメンズ・コレクションの取材時にSNS用に撮影した15秒動画の中から、“いいね”をたくさんもらったものと、個人的に“これは見てほしい”ものを集めました。後編はパリから。

「コム デ ギャルソン」のショーはパリコレでも異質な時間

 「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のショーには独特の張り詰めた空気があります。そして誤解を恐れつつお伝えすると、ショーが始まる直前の緊張感がピークに達する静寂の中で会場を見渡すと、微笑ましい気持ちになります。なぜなら、「大の大人が世界中から集まり、“フツウ”じゃない服を極めて真剣に見ようと居住まいを正している」から。とかくビジネス視点になりがちな最近のパリコレですが、この場では大人たちが自分の仕事の原点に立ち返り、川久保さんからのメッセージを受け取ろうと神経を研ぎ澄ませている……。大御所と呼ばれる客席の大人たちの表情に少年・少女の面影を見るから微笑ましく、うれしくなります。それはパリコレの中でも異質な時間なのです。

知ってもらいたいブランド
「Yプロジェクト」

 こちらは単純に見て知ってもらいたいブランドとしてピックアップしました。「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」です。グレン・マーティンス(Glenn Martens)がデザインする服はクチュールやストリート、スポーツなどいろいろな要素が混在しています。建築をバックグラウンドに持つデザイナーだからか、アンバランスとギリギリのところでバランスをとっていると言いましょうか、絶対倒れない支柱がある感じが魅力です。

「アンリアレイジ」の森永デザイナー、アルノーCEOに説明をする

 「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」の2019年のファイナリストによる公開プレゼンテーションの場で、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦デザイナーがベルナール・アルノーLVMH会長兼最高経営責任者(CEO)に説明をする様子です。後ろ姿の女性は、デルフィーヌ・アルノー=ルイ・ヴィトン エグゼクティブ・バイス・プレジデント。残念ながら映っていませんがその隣にはトッズ グループのディエゴ・デ・ラ・ヴァッレ会長兼CEOもいます。彼らは森永デザイナーの説明に納得した様子です。世界のより多くの人に自分のデザインを伝えるためには、いいモノを作って見せるだけではなく、それを英語で端的に説明できることが重要。それがよくわかるシーンです。

「ロエベ」の黒光りする
ヘリンボーンの床

 見ていただきたいのは、床です。この会場は「ロエベ(LOEWE)」がいつも使用するユネスコ本部で、ショーのためにヘリンボーン風に装飾しています。恐らくシートを張っているのでしょうが、あたかも最初からこの床であるかのようなリアルさです。ヨーロッパの古い肖像画に着想を得た今季の「ロエベ」のイメージに合っていますね。10数分間のショーのためにここまで徹底するの、さすがです。

「ヨウジヤマモト」の黒い服を着て歩く女性たち

 このショーを見た後、5月に放映されたNHK BSの「ヨウジヤマモト~時空を超える黒~」を見て驚きました。番組では1980年代前半の「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」のショーの映像が使われていたのですが、今季のシーンとそっくりなのです。ゆったり目の黒い服を着た手ぶらの女性が数人で歩いてくる、というシーンです。もちろん、素材もカッティングも進化をしているのでしょうが、軸となるスタイルは40年近い時を経ても変わらず今見ても新鮮です。正直その変わらなさが古びて見えた時期(約10年前)もあったけど、今はふたたび新鮮に見えます。その違いはどこからくるのか。服に吹き込まれるエネルギーとしか思えません。

「バレンシアガ」のとてつもなく
広いランウエイ

 ランウエイが広い、とてつもなく広い!ということを見ていただきたい「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の動画です。贅沢にスペースを使いつつすがすがしいほど何もない空間です。とはいえ、このライティングには相当お金がかかっていそうですね。

「サカイ」でビヨンセがかかり、
テンションがアップ!

 「サカイ(SACAI)」のフィナーレでビヨンセ(Beyonce)の「クレイジー・イン・ラブ」がかかりテンションが上がりました。ビヨンセで思い出すのは、米国の名物司会者、オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)の番組が2011年に終了する際に見せた「ラン・トゥ・ザ・ワールド」のステージです。ユーチューブで見られますのでぜひ。冒頭のビヨンセのメッセージにパワーをもらうこと間違いないです。そして女性を元気づける感じが「サカイ」の存在とつながります。

COMME DES GARCONS x コレクションの記事

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

疾走するアシックス 5年間で売上高1.8倍の理由

「WWDJAPAN」11月4日号は、アシックスを特集します。2024年度の売上高はコロナ前の19年度と比べて約1.8倍の見通し。時価総額も2兆円を突破して、まさに疾走という言葉がぴったりの好業績です。売上高の8割以上を海外で稼ぐグローバル企業の同社は、主力であるランニングシューズに加えて、近年はファッションスニーカーの「オニツカタイガー」、“ゲルカヤノ14”が爆発的ヒットを記録したスポーツスタイル…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。