毎年7月に開催されるパリ・オートクチュールウイークでは、新作ハイジュエリーの発表も行われる。この期間は世界中から富裕層がパリに集結し、クチュールやハイジュエリーの受注会がパリ各所で開催される。今年の話題は「グッチ(GUCCI)」のハイジュエリー参入だ。ジュエラーの聖地、ヴァンドーム広場にも「グッチ」はジュエリー専門のショップをオープンし、存在感をアピールした。他のジュエラーの作品も力作ぞろい。8月19日号の「WWDジャパン」ハイジュエリー特集2019で掲載できなかった各ジュエラーの作品を紹介する。
高度な職人技がモノを言う
動きのある流麗なデザイン
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カボションの宝石をつなげたり、パールやダイヤモンドをカスケード状に施すなど動きのある流麗なデザインが多く見られた今シーズン。「カルティエ(CARTIER)」の新作ネックレス“ウプサラ”は淡い色のカボションサファイアをタッセル状にした涼しげな作品。ルチルクオーツやイエローダイヤモンドなど意外な素材の組み合わせが見どころだ。藤の花をほうふつとさせる“ハード&アロー”イヤリングは「グッチ(GUCCI)」の作品。ルベライトとピンクサファイアのグラデーションが美しい華麗なデザインで仕上げている。ロシアがテーマの「シャネル(CHANEL)」の新作“サラファン”はダイヤモンドで描いたカメリアにパールを添えた荘厳なビブネックレス。襟を付ける感覚でまとう「シャネル」らしい逸品だ。
庭に咲き誇るバラとアイアンワークを繊細なラインで表現した「ミキモト(MIKIMOTO)」のブローチは、パールとダイヤモンド、スピネルなどをリズミカルに組み合わせかれんに仕上げた。「ブシュロン(BOUCHERON)」のカボションのエメラルドを連ねた“ヴェリエール(ガラス天井)”ネックレスはグラン・パレがモチーフ。ブローチの部分は空から見たグラン・パレでドームの部分は緑の植物が生い茂る温室を表現している。流れるようなパールのイヤーカフは「アトリエ タサキ(ATELIER TASAKI)」の新作だ。“ウォーターフォール”と名付けられた、耳の形に添うようにデザインされたボリューム感あるイヤーカフは存在感たっぷり。
素材の魅力を最大限に引き出した
王道ハイジュエリー
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「ショーメ(CHAUMET)」は、ティアラで知られるハイジュエラーだ。天空をテーマにした新作コレクションでももちろんティアラが登場した。“ソレイユ グロリュー(栄光の太陽)”ティアラは、イエローダイヤモンドを太陽に見立て、荘厳な輝きを放っている。同じく、太陽をモチーフにした「ピアジェ(PIAGET)」の“ブレージング ライト”ネックレスはその名の通り、燃えるような太陽を極めて希少性の高いピジョンブラッドのルビーとダイヤモンドの対比で描いている。「ロミオとジュリエット」をテーマにした「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」の“フィオーレ”ブレスレットは2石合わせて100カラット以上のアクアマリンを使用。大きさ、クラリティー、色調全て完璧なまでに調和した素材調達の妙と、それらを大胆に組み合わせるアプローチは「ヴァン クリーフ&アーペル」ならでは。
設立20周年を記念した「ディオール ファイン ジュエリー(DIOR HAUTE JOAILLERIE)」による“ジェム ディオール”は、まるで宝石のカクテルのようなコレクションだ。異なるカットを組み合わせた“ローズ ボンボン”リングは、22石計9.4カラットのピンクサファイアを使用している。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、フランチェスカ・アムフィテアトロフ(Francesca Amfitheatrof)=ウォッチ&ジュエリー・アーティスティック・ディレクターが手掛けた初のハイジュエリーを発表。9石計152.83カラットのアクアマリンを使用した“ライダーズ・オブ・ザ・ナイツ”ネックレスは迫力たっぷりだ。アムフィテアトロフらしいエッジの利いたジオメトリックなデザインでシャープな印象に仕上がっている。イタリア・カプリ島で新作発表を行った「ブルガリ(BVLGARI)」は、色石が得意なジュエラーらしく色とりどりのゴージャスな作品をそろえた。サファイアを主役にエメラルドとダイヤモンドをレール留めで施し、さらにダイヤモンドをパヴェセッティングするなど凝ったデザインにも注目だ。