三越日本橋本店は本館6階の時計サロンをリニューアルし、「ウォッチギャラリー」として8月21日にオープンした。約60ブランドをそろえ、売り場面積は従来比約2.5倍の1000平方メートル強となった。改装は29年ぶり。
リニューアルのコンセプトは“ザ・ギャラリー”。これまでの対面式の商品陳列を一新して、美術館やギャラリーでアート作品を鑑賞するように客とスタッフが同じ側から商品を見て回る。そのためウォッチギャラリーでは、ブランドを横断して接客する“時計のプロ”としてカテゴリースペシャリストを配置する。“おもてなしのスペシャリティストア”を標ぼうする同店だけあって、ブランドごとの応接スペースはもちろん、共有の商談スペースを各所に設けるなど滞在時間のアップを狙う。
目玉は、渡辺健司・三越伊勢丹 特選MD統括部 日本橋特選営業部 時計マーチャンダイザーが「念願だった」という「キャリバー(CAL.BAR)」の開設で、時計愛好家を中心に注目を集める独立時計師系ブランドを常設展示する。独立時計師とは、企業に依存せず自らのアイデアと技術で時計を一つずつ手作りする技術者のこと。年間生産は数十本足らずで、価格は数百万~数千万円だ。キャリバーはウォッチギャラリーの中心に構え、バーカウンターをイメージした円形のカウンターと椅子を備える。展開数は「百貨店として最大級」で、独立時計師による実演やオーダー会、さらには「紳士服や食との連動イベントも企画する。お客さま同士の交流の機会も増やしたい」という。
また同店は、21日から「第22回三越ワールドウォッチフェア」を開幕した。会場はリニューアルしたウォッチギャラリーと本館7階の催物会場で、会期はウォッチギャラリーが9月3日まで、催物会場が8月26日まで。18年の同フェアの売り上げは「WWDジャパン」推定で12億円強だったが、渡辺マーチャンダイザーは「関係各位のおかげで、こんなにすてきな売り場が完成した。今年は、さらに上を見なくてはならない。ずばり2ケタ増を目指す」と述べた。15億円超えが目標か?と水を向けると、笑顔で首を縦に振った。
同店は18年10月に本館1階の化粧品や雑貨、新館1階の特選などを改装する第1期リニューアルを終えている。