大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。
今日のニュース:P.8-9「『グッチ』も参入 渾身のハイジュエリーがパリに集結」
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読み解きポイント 後発「グッチ」は、ひねりを加えることで攻勢
<ニュースのポイント>
パリ開催のオートクチュールウィークである7月に、各ジュエラーが新作ハイジュエリーを発表。VIP顧客の消費意欲を掻き立てるため、ヴィラや宮殿で、食事、エンターテインメントを交えたイベントを開催し、おもてなしを兼ねた発表を実施。聖地ヴァンドーム広場でも、各ブランドが顧客体験の充実に向けた改装を実施中。
<CKRはこう読む!>
「200」。「グッチ(GUCCI)」がクチュールウィークで発表したハイジュエリー・コレクションの数です。その多さに驚かされますが、後発の「グッチ」がハイジュエリー市場でインパクトを与えるためには、必要な数字だったのかもしれません。
「後発企業が新たなポジションを獲得する」。この戦略を実現できた秘密は、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の考え方にある気がします。「古いものにツイストを加え、より新しく自由、クレイジーな表情を与える」。ストリートカルチャーにも理解のあるミケーレならではの考え方です。
世の中にモノが溢れる中、全く新しい発明により、新たな「200」を生むのは困難です。一方すでにあるものに、ひねりを加えるアプローチなら「数」を獲得できます。しかもツイストにより、良い意味の「毒、個性、センス」を際立たせることも可能です。今回、ミケーレが、不ぞろいの石をセッティングしたことは「ツイスト」そのものですね。古いアーカイブにアクセスして、目利きをして、ひねりを加え、新しいモノを生み出す「グッチ」のアプローチは、アパレルに限らず多くの業界で、後発企業の戦略として非常に参考になります。
また、テクノロジーの転換点に大きく参入することも、後発企業のアドバンテージになります。ITの世界では、パソコン向けに多額の投資を行っていた企業がスマホ対応に躊躇(ちゅうちょ)した中、後発企業がスマホ向けにアクセルを踏み大きく成長した事例がたくさんあるのです。
「アーカイブにひねりを加えて新しいモノを生み出す」「テクノロジーの転換点を見極める」。ビジネスに新規参入する際、非常に重要なポイントですね。