「WWDジャパン」8月26日号は、“2019年春夏に百貨店で売れたもの”を特集しています。今回は、北は北海道から南は鹿児島まで50百貨店に協力いただきました。さらに、これまで定期購読特典だったビジネスリポート(データ集)が単品販売で1万円で購入できるようになりました!僕は、創業200周年を迎えた仙台の藤崎を取材したのですが、せっかく仙台まで来たのだからと、百貨店以外の商況についても探ることにしました。
“探る”といっても個人的に仙台を訪れるのは人生で2度目で、ローカルの友人・知人もおらず……、そこで頼ったのが15年来の付き合いがあり全国津々浦々を行脚しているアルファ社長の南貴之さんでした。そして南社長から紹介してもらったのが仙台のアパレル企業、エニシングゴーズ社長の森義人さん。エニシングゴーズは「ノンネイティブ(NONNATIVE)」「エンダースキーマ(HENDER SCHEME)」などを扱うステアワイズや、「ファクトタム(FACTOTUM)」「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO」などを販売するダウンステアといったセレクトショップを運営しており、19年2月には「グラフペーパー(GRAPHPAPER)」を運営するアルファとフランチャイズ契約を結び、国内3店舗目となる「グラフペーパー」仙台をオープンしました。
残念ながら別件がある森社長には会えなかったのですが、取締役兼マネージャーの古川正樹さんとスタッフの渡邊一弘さんが対応してくれました。「もともと『グラフペーパー』はステアワイズでセレクトしていたのですが特に人気が高く、スピンアウトする形で同店3階にオープンしました」と渡邊さん。そして古川取締役が「仙台っ子って、“シンプル、だけどこだわりのあるもの”が好きなんです。特に大人は攻めたファッションはしません。だけど“よいものは欲しい”というマインドはあります。そんな顧客に、和歌山の吊り編みTシャツや岡山のセルビッジジーンズ、1796年創業の英国のシャツメーカー『トーマスメイソン(THOMAS MASON)』の生地を使ったシャツなど、付加価値のある『グラフペーパー』の商品がうけています」と補足してくれました。30代後半から40代の会社経営者や医師にファンが多いとか。
渡邊さんは「全身を『グラフペーパー』でそろえてくれる方も多いですし、『南さんがディレクションしたシンメトリーな内装を見たい』と、観光的に県外から来店した若年層がおみやげとしてTシャツなどを買ってくれるケースもあります」と言い、古川取締役も「19年春夏の売り上げは予算比をクリア。メンズは完売して、東京分の在庫を回してもらったくらいです」と教えてくれました。
きれいめ志向の仙台っ子に、「シンプルで上質」な「グラフペーパー」が売れているのは納得。でも、「古着もアツいよ」という南社長の言葉が引っかかり、さらに取材を進めるのでした。
(後編に続く)