ベージュやブラウンなど“カフェオレ”系の色は、ここ数シーズン人気が続いています。クリーンで穏やかな雰囲気を醸し出せるのが人気の理由。さまざまなシーンに着て行きやすいことに加え、エフォートレスやミリタリーといったテイストとも好相性。でも、程よく主張を強めていくのが2019-20年秋冬のトレンドだけに、味付けを見直したくなります。有力ブランドが提案したコーディネートをヒントにして、ベージュ&ブラウンの賢い取り入れかたを紹介していきます。
素材の質感やディテールでスタイリングに起伏を持たせると、カフェオレ色に深みを与えられます。具体的な選択肢になるのは、プリーツやドレープ、フリンジ、リボンなど。「バナーバレット(BANNER BARRETT)」はフリンジ付きのニットトップスに、シフォン地のプリーツパンツをコーディネート。フリンジが動きを添え、プリーツのひだが陰影を引き出しています。
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◆ディテールで動きをプラス 濃淡・素材感をずらして
ベージュ系で全身をまとめる場合、色味をそろえすぎると、かえって単調に見えてしまいがちです。「ユニクロ ユー(UNIQLO U)」はベージュのシャツにキャメル色アウター、ココア色パンツで、濃淡がリズミカルな“トーン・オン・トーン”に整えました。トップスよりもう一段濃い色をボトムスや靴に配すのが、全体を引き締めるコツです。
グレーやカーキ系の色を取り入れて、ベージュ系のまとまりを少しだけ崩す“ずらし”のテクニックは、互いの色を引き立て合ってくれます。「ラグナムーン(LAGUNAMOON)」のパンツルックは、ココア色のワイドパンツを主役に、それより色が薄めのニットキャミソールとモッズ風コートを組み合わせています。それぞれに素材感も異なっているので、いっそうずれが生まれて、こなれた雰囲気に仕上がっています。
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◆白シューズを引き立て役に 細身ボトムスとレイヤード
カフェオレ系のアイテムを引き立てる脇役としては、白い靴がうってつけです。柔らかいムードを印象付けられるうえ、足元が軽やかな印象になります。「ジードット(G.)」はキャメルのニットトップスとラップ風スカートで、同系色のコンビネーションを組み立てました。服より濃い色のバッグを斜め掛けして、カフェオレ色を穏やかに演出。白のレザーシューズが品よくクリーンな雰囲気を足元に呼び込んでいます。
「オトアー(OTOAA)」は、ニットワンピースの下に細身パンツを合わせたカフェオレトーンのレイヤードを提案。レイヤードによってパンツの細さが際立っています。厚みのあるアウターを重ねて、さらにリラックスした見え具合にアレンジしました。唯一の“非ベージュ系”である白シューズが爽やかさを添えています。
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◆アイキャッチーなアニマル柄を投入 ブーツをスパイシーに
優しげなイメージのカフェオレ系トーンですが、着こなしのレパートリーを広げるなら、強めの柄とミックスするのが効果的なアレンジです。たとえば、19-20年秋冬に広がりそうなレオパード(ヒョウ)柄は、意外と好相性を発揮してくれます。「コンバース トウキョウ(CONVERSE TOKYO)」はレオパード柄トップスにチェック柄ワイドパンツと、ダブルで印象的なモチーフを取り入れました。攻め系のレオパードと正統派チェックという、ほとんど真逆の柄が装いに動きを出しています。
レオパードなどの柄を服で取り入れるのは、目立ちすぎが気になるという方もいるでしょう。でも、小物なら取り入れやすいはず。19-20年秋冬のおすすめは、久々に注目のロングブーツです。この秋冬はパイソン柄もリバイバルの気配。「アイレネ(IRENE)」はクラシカルなツイードのセットアップに、パイソン柄のブーツをコーディネート。ベージュ~ブラウンの落ち着いた色味の服と、スパイシーなパイソンブーツが交差します。
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19-20年秋冬の“カフェオレ”色コーデは、配色のずらしや異素材のミックス、白シューズとのマッチング、トレンド柄の投入などが工夫のしどころ。落ち着いた色ならではの上品でソフトなテイストを大切にしつつ、自分なりの落とし込みを楽しんでみてはいかがでしょうか。
ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い