ニューヨーク・ファッション・ウイーク開幕日の9月5日、NYでは40人以上の障害を持つ人がモデルを務めるファッションショー「ランウエイ・オブ・ドリームズ(RUNWAY OF DREAMS)」が開かれる。チケットはすでに完売。彼らは「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」や「ナイキ(NIKE)」などのブランドを着用予定だ。
ショーは、アプリ「ランウエイ バイ SAP」を通じて誰もが閲覧可能で、洋服やスタイルに対してコメントまで書き込める双方向性の高いイベントとなる。多くの商品は、アプリ経由で購入可能だ。
イベントを手掛けるのは、メイシーズ(MACY’S)のプライベートブランド「INC」などをデザインしてきたミンディ・シャイアー(Mindy Scheier)。彼女の第2子オリバー(Oliver)は、筋ジストロフィーを患っている。
筋ジスのオリバーにとってボタンやファスナーによる洋服の着脱が難しく、ミンディはスエットパンツばかり履かせていたという。ところが8歳の時、オリバーは「どうして僕は、ジーンズが履けないの?」とミンディに質問。そこで、彼女は一念発起。「『洋服は、人に自信を与えるために存在する』という、業界に飛び込んだばかりの時の信念を思い出した」と振り返るミンディは、ファスナーをベルクロに置き換えるなどしてオリバーでも履けるデニムを作り上げた。オリバーは、一人で履けるデニムをとても喜んだという。これを機にミンディは、NPO法人「ランウエイ・オブ・ドリームズ」を発足。最初に賛同し、洋服をデザインしたのは「トミー ヒルフィガー」だった。
現在、アメリカには6000万人、世界には10億人、自力による洋服の着脱が困難な障害者がいると言われている。彼らを取り巻く市場は2026年までに、約4000億ドル(約42兆4000億円)規模になるだろうとの試算もある。障害者向けの洋服は皆無ではないが、その多くは比較的高齢者に向けて作られているのが現状だ。
ミンディは、「障害者は今、世界最大のマイノリティーだ。プラスサイズや小柄な女性向けの洋服は、今、続々と誕生するようになった。将来的には、同じような状況になるべきなのよ」。