大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。
今日のニュース:P.6〜「セレクトショップの次世代を担うキーマンに成長戦略を聞く」
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読み解きポイント:個性を生かすタレント事務所
<ニュースのポイント>
課題が山積みのファッション業界の中で、セレクトショップの業績は好調だ。ビームス、ベイクルーズはすでに創業40年を超え、従業員も数千人単位で大企業化している。ITを活用した新たな購買体験、リアル店舗のあり方、組織再編などの課題に直面する中、次世代を担う各社のキーパーソンへ、自社の強み、新たな成長戦略などを聞いてみた。
<CKRはこう読む!>
「3%台」。ここ数年のビームスの離職率です。厚生労働省が発表する、卸売業、小売業の離職率「14.5%(平成29年度)」、就職3年以内の離職率が40%前後であることを考えると、かなり低い水準であることが分かります。
今回は、「セレクトショップの離職率は、なぜ低いのか?」という視点で、記事を考察してみたいと思います。
ユナイテッドアローズの松崎善則氏、木村竜哉氏は共に、アルバイトとして入社し、正社員となり、現在取締役を務めています。両氏ともワクワクしながらセレクトショップの門を叩き、販売員としての実績を積み重ね、スタートアップ的なムードが残る中、この20年新しい事業開発を続けてきました。だからこそ、今いる社員にも、熱量を持って個性を発揮して欲しい、そのための環境を用意したいという想いが、強く伝わってきます。
現在、セレクトショップは事業部制を引く大企業となり、ノリでなく制度として、一人一人の個性を引き出す仕組み作りの必要性に直面しています。
本記事のインタビューの中にもある通り、各社「ジョブローテーション」「販売員向けの特別な給与体系」「副業の容認」といった施策を推進しているところですが、どれもどこかで聞いたことのある話です。
そんな中、目を引かれたのが「ビームス事務所(仮称)」。個人指名でオファーをいただく社員、タレント事務所に所属していないアーティストなど、人に焦点を当てた、個性・才能を生かすための施策です。
詳細は明らかにされていませんが、事務所の方針を実現するというトップダウン型ではなく、本人の活動をサポートする、裏方姿勢を軸にした施策です。事務所に所属する人にとっては、「個性発揮が前提のため居心地が良い」「手間のかかることを事務所にアウトソースできる」「本人に箔をつけるスポンサーとして活用できる」といったメリットがありそうです。
組織が硬直化し、人財育成に悩む企業にとっても、参考となる施策かもしれません。
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CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中