ドイツのアイウエアブランド「マルクスT(MARKUS T)」は、特許素材TMiとチタンを使用した100%ドイツ製ハンドメードによる軽量の眼鏡フレームが有名だが、その会社経営もユニークだ。1988年に同ブランドを設立したマルクス・テミング(Markus Temming)社長は、西部ギュータースローに約9000平方メートルの土地を買収し、19世紀後半に建てられた古いレンガ造りの酒の醸造所を改装したオフィスと工場に加え、ホテル、ドイツ料理のレストラン、銀行、カフェも併設し、本社内に一つの街を形成している。
「11月にイタリアンスタイルのカフェが開業すれば完成だ」と語るのは約7年ぶりに来日したテミング社長。それぞれの施設の建築や内装もテミング社長がデザインしている。「人が住み、生活し、愛され、24時間人が動く場所にしたいと思った。『マルクスT』の哲学をもとにして統一されたデザインの中で過ごすことにより、ゲストたちにブランド哲学の理解も深まればいい」と話した。ドイツ語で“パジャマ”を意味する「ポルティア(POLTER)」と名付けたホテルは内装のデザインだけでなく経営も同社が手掛け、約100人いる「マルクスT」の従業員の一部の希望者もカスタマーサービスやマーケティングに携わるという。「『マルクスT』は家族的で自由な会社だ。社員がやりたいことをかなえることで、人材を育てたい。新しい働き方を常に模索している」と、ユートピアを築くような企業づくりを目指す。ホテルは12部屋あり、宿泊料は150ユーロ(約1万7000円)から。
現在、世界60カ国以上で販売されている「マルクスT」の売り上げの約40%を占めるドイツに次いで、約35%のアジアは重要市場だ。「日本は高い品質に対する理解度が高いお客さまが多い。少しずつ着実に成長している」と語った。日本の販売代理店はブリッジ。
テミング社長は、日本に次いで、台湾、香港、タイを訪問した。