ファッション

「ユニクロ」の価格引き上げの背景は?

 「ユニクロ(UNIQLO)」の価格引き上げが話題になっている。5月11日に開催した2014-15年秋冬展示会で、商品価格帯が資料の最終ページに記載されていたのだが、見かけ上はこれまでとほぼ変わらない価格だった。しかしこれが税抜価格だったことに気付いた一部メディアが6月に入ってから「一律、5%程度の値上げ」と報じたことで、一気に拡散されることになった。今秋冬の主要アイテムの商品価格帯は、ヒートテックで990~2990円、ウルトラライトダウンが3990~1万2900円、フリースが1000~3990円、エクストラファインメリノが2290~3990円、カシミヤで5990~9990円、スウェット1990~4990円、デニム2990~7990円、UT990~4990円、スマートスタイルパンツ2990~3990円、イネス・ド・ラ・フレサンジュ1000~1万2900円(すべて税抜)だ。

 原材料価格の高騰は顕著で、中国産の羽毛はこの2年で2倍以上になった。「ユニクロ」の新価格も羊毛などでは5%以上の引き上げになっており、フリースやヒートテックなど化学繊維には引き上げ幅が小さいという傾向がある。エクストラファインメリノは昨年、税抜で1896円・税込で1990円~だったものが、税抜2290円となっており、7%近い値上げだ。また、カシミアは昨年、シルク混などのブレンドにして税込で1500~9990円と幅広いアイテムを展開していたが、今年は税抜で5990~9990円と高品質商品にフォーカスする。

 「ユニクロ」はこれまでも、価格の引き上げを行なったことがある。最も印象的なのが、20周年を機に、「安かろう、悪かろう」のイメージを払しょくすべく、2004年9月に「世界品質宣言」を行なった時だ。前年のカシミヤの人気や、ジャパンデニムやヨーロピアンクロスシャツなど、従来よりも1000~3000円高い商品が好調で、付加価値の高いプレミアムな部品としての服を目指すと方針を打ち出した。

 その後、円高やデフレなどで消費者の価格志向が強まったことに加え、中国や東南アジアなどでも受け入れられるようにと、「同一価格の中では圧倒的な高品質な服」であることは変えずに、低価格商品の幅を広げた経緯があった。

 そして、原材料が高騰し、為替も円安に振れ、日本ではアベノミクスで景気が好転しているといわれる中での価格引き上げである。柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は今年2月、今後の価格戦略について、「今までと一緒。変わらない。上げもしないし、下げもしない。価格帯の幅も変わらない。我々が評価を受けているのは、今のプライスで、どこよりも品質的にいい商品が買えるということだと思う」と前置きしたうえで、「でもある一定の限界が来たら上げざるを得ないかもしれない」と話していた。価格の引き上げは秋冬の新商品からで、6月末から順次投入される。

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