1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。
今日のニュース:P.3:「『大量廃棄社会』の衝撃」P.5:「世界初、人工タンパク質素材の高機能ウエア完成 ゴールドウインとスパイバーが共同開発」
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読み解きポイント「ハロー、人類平和。グッバイ、大量廃棄社会」
ニュースのポイント
2015年の共同記者会見から4年。ゴールドウインとスパイバーは、人工タンパク質素材を使用した高機能ウエア“ムーン・パーカ”を世界で初めて販売すると発表。従来の合成繊維は石油を原料としていたが、“ブリュードプロテイン(発酵タンパク質)”素材を使うことでエネルギー消費や環境負荷が圧倒的に少ない生産を可能にした。日本発の“循環型の究極のサステナブル素材”が世界で注目される一方で、国内ではアパレル産業の「大量廃棄」が問題になっている。
Azuはこう読む!
数年前にスパイバーの存在を知った時は「クモの糸?強そう〜」程度の間抜けな感想しかなかったのですが、アパレルと他業界の間でウロウロしていると、彼らが最終目標に掲げる「人類平和」は、決して大げさなことではないのだと分かってきました。リテール系ITにいるとサステイナブル・エシカルといった言葉とは距離がありそうだと思われますが、購買行動のデザインという面で捉えると、私たちも決して蚊帳の外ではありません。なんなら「常識を変えてやろう!」という気概でやっています。繊維開発であれ、購買行動の革命であれ、企業としての目的の先に「人々の生活をより良くする」という包摂的な還元が必要とされる時代。だから「人類平和」は、ちっとも非現実的な目標ではないと思うのです。
それなのに(と書き出すとスパイバーの素晴らしいニュースを足掛けにしたようで申し訳ないのですが)、アパレル産業は、目先の利益や体裁のために大量廃棄を続けていて、びっくりするほどかっこ悪い。
本紙のEDITOR’S VIEWでも問題提起されている「大量廃棄社会」を目の当たりにしたのは、数年前にアパレル商材を扱う物流センターへ見学に行った時でした。そこで聞いたのは「この一角にある衣類は一度消費者の手に渡ってからまた戻ってきて、半数近くは再販されずに焼却処分される」という事実。まだ社会人2年目かそこらでアパレルとファッションに夢を抱いていた私は、やるせなさとシステムに対する怒りのあまり打ちひしがれたのを覚えています。その後「洋服の賞味期限って何?」という文章を書き、その中で「衝動」こそサステイナブルな感情なのだ、と綴りました。今見返すと、衝動で書きすぎてちょっと意味分からないですが(笑)。
ゴミを出さない、消費の価値観を変えるなど、「脱・大量消費社会」(の先にある人類平和)に対してはそれぞれのアプローチ方法があると思うし、そのためなら「サステイナブル」や「エシカル」をマーケティング、PRツールの一つとして活用しても良いと思います。ただ、「SDGsが〜」と言っている企業が裏で大量廃棄していたとしたら、個人的不買運動に走ってしまうくらい、だいぶ興ざめなのですが。
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Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne