香港で6月から行われている、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする条例への大規模な抗議デモが長期化しており、その経済的な影響が表れ始めている。香港統計局の発表によれば、2019年7月における小売業の売上高は前年同月比11.4%減の344億香港ドル(約4477億円)で、同6.7%減だった6月よりさらに悪化している。
特にラグジュアリー業界への影響が大きく、ジュエリー、ウオッチ、高級贈答品などの7月の売上高は同24.4%減だったという。化粧品やドラッグは同16.1%減、アパレルが同13.0%減、フットウエアは同10.1%減だった。香港政府は、「小売業の売り上げの落ち込みは、香港の消費者の購買意欲が下がっていることや、社会的な問題が発生していることによる観光客の減少を反映している」と発表した。
香港小売業管理協会(Hong Kong Retail Management Association)は、8月はさらに売り上げが悪化すると予測しているという。同協会のアニー・ヤウ・ツェー(Annie Yau Tse)会長は、「7月中旬からインバウンドの観光客数が毎週減っていき、8月中旬には例年の半分近くまで減少した。抗議デモが香港のさまざまな区域に広がっていること、また香港国際空港でも行われるようになったことを踏まえると、19年の売り上げが2ケタ減となるのは避けられないだろう」と述べた。