「ファビアナ フィリッピ(FABIANA FILIPPI)」は、ジャコモ・フィリッピ(Giacomo Filippi)とマリオ・フィリッピ(Mario Filippi)の兄弟によって、1985年にイタリアのウンブリア州で創業されたブランド。ジャコモの妻ドナテラ・フィリッピ(Donatella Filippi)がデザインを担い、ファビアナとはジャコモとドナテラの娘の名前。ファミリーの手により、情熱と実用主義という理念のもと生み出されるコレクションは、ラグジュアリーかつ現代的なスタイルを表現している。卓越したクラフツマンシップと厳選された素材、繊細なディテール、倫理への高い意識にこだわったモノ作りがブランドの特徴だ。そんなブランドを代表するのは、“ファビアナ・グレージュ”と称されるカラートーン。ベージュからグレーまでの絶妙なニュアンスが、女性たちを優しく包み込むとともに凛とした輝きを放つ。
糸から独自にブレンド
徹底したメード・イン・イタリー
1 / 4
「ファビアナ フィリッピ」の本社は、自然と文化に恵まれたウンブリア州ペルージャ県ジャーノ・デッルンブリアにある。ウンブリア州はニットの産地として知られ、同ブランドも他社メーカーのニットの生産からスタートした。1990年に初めてオリジナルのニットジャケットを発表し、92年に現在のロケーションに本社を移転。成長とともに増築を続けてきた。現在は、約1万平方メートルの空間にデザインアトリエをはじめ、サンプル製造やニットの生産、クリーニング、検品までを行う部門を擁し、約200人が働いている。大切にしているのは、真の“メード・イン・イタリー”を体現する丁寧なモノ作りだ。特に、ブランドの歴史を物語る100%カシミアの糸や、カシミアとシルク、オーストラリアンメリノウールを組み合わせて独自に開発した糸「プラチナ」から生み出されるニットは、その魅力を象徴している。
ドラマチックだけどリアル
今秋冬は1980年代から着想
1 / 6
2019-20年秋冬は、映画のようにドラマチックでありながら、リアルな都会の風景も想起させる1980年代の雰囲気を表現している。エレガンスと現代的な仕立てを併せ持つバランスのとれたワードローブを提案する。洗練されたレイヤードスタイルや程よいボリューム感、メタリックディテールやテクニカルな素材が特徴。メンズウエアをセンシュアルに再解釈したタキシードジャケットやチェックのセットアップスーツから、フェミニンなドレスまでがそろう。また、ブークレのケープやダブルフェースのカシミアコートなどアウターも豊富だ。コレクションの要となる素材は、柔らかなモヘア、光沢のあるベルベット、アンゴラ、スパンコールが織り込まれたオーガンジーなど、どれも非常に上質で着心地も抜群だ。
チュールスカートがヒット中
大人の女性にこそ似合う
シルエット
ニットに強みを持つ「ファビアナ フィリッピ」だが、19年春夏からヒットしているのがチュールスカート。ブランドが得意とするグレージュトーンのロング丈のチュールスカート(10万9000円)を雑誌「プレシャス(Precious)」と組んで4月に打ち出したところ、これまでに450枚が完売。その後も問い合わせが続いている。しなやかなチュールを重ねた流れるようなシルエットが好評の秘けつで、ボリュームが出過ぎないため、大人の女性に似合うチュールスカートとして支持されている。19-20年秋冬も、引き続きチュールスカートやチュール素材のドレスを充実。華やかな雰囲気は冬のパーティーシーンにもぴったりだが、ニットと合わせれば普段使いもできる便利なアイテムだ。
原動力は、ファミリーから
受け継いだ価値観
「起業家として生きるという夢を叶えるにあたり、ウンブリアの強みである確かな職人技術を生かしたかった」と、ブランド設立のきっかけを振り返る創業者のジャコモとマリオ。そんな彼らの原動力になっているのは、「誠実さ、敬意、他者への貢献というファミリーから受け継いだ価値観」だ。それを従業員にも伝え、意識を高めているという。「ウンブリアで生まれ、『ファビアナ フィリッピ』を通して、国際的な視点を持ちながらも地元の価値、品質と創造性を生み出していく過程に携われることは、われわれの高いモチベーションにつながっている」。20年には、会社として35周年、ブランドとして30周年を迎える。「自分たちのルーツや過去に成し遂げたことの先に未来がある。品質と創造性という二つの重要なファクターに今後もこだわり続ければ、継続して進化していくことができると考えている」。その上で真摯に取り組んでいるのは、美しいものに囲まれた環境の保護に加え、新しい世代の育成だ。「無限の可能性を秘めた彼らは、私たちの未来への鍵であると確信している」。
ファビアナ フィリッピ/アオイ
03-3239-0341