良質なオイルの飲用も含め、広く知られるようになったオイルの力。代表的なオリーブオイルの市場規模は拡大を続け、2015年の325億円から18年は426億円まで増加。また、近年は荏胡麻オイルや亜麻仁オイルが人気を集めるなど、“トレンドオイル”も生まれている。次の注目オイルは何になるのか?そのヒントをつかむべく、9月6日に東京・代官山で開催されたオイルの祭典「オイル イン ライフ エキスポ(OIL IN LIFE EXPO)」を訪ね、まだ日本市場には広がっていないユニークなオイルを探してみた。
来年こそ日本でも?
世界で流行CBDオイル
米国や欧州ではおなじみになりつつあるものの、日本ではまだまだ一部の製品、販路でしか取り扱いのないCBD(カンナビジオール)オイル。大麻草の芽と花から抽出したオイルで鎮痛やリラックス作用があるといわれており、海外では飲用リキッドやCBDを含んだスキンケア製品なども豊富だ。しかし、「日本ではマリファナの有効成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が0.01%でも含まれていると取り扱えないので、市場拡大には時間がかかると思う」と関係者は語る。「それでも、日本市場にも対応した、THCが一切残留しない製品も海外では作られ始めている」とのことなので、店頭に並ぶ製品数が増えれば、日本でもCBDオイルブームが起こるかも!?
日本ならではの米油で温故知新美容
日本では昔から米ぬかの美容作用が伝わっているが、その米ぬかから抽出した米油は、東京オリンピック・パラリンピックでツーリストが増える20年に、日本発のスーパーオイルとしてブレイクする可能性が。「0.6ライスブランオイル」では、飲むオイルとしてはもちろんのこと、肌に塗る美容オイルやバーム、リップクリームも展開している。特に“飲むオイル““はスーパービタミンE”と呼ばれ、通常のビタミンEの40〜60倍の抗酸化作用があるγ-トコフェロールや、脂質代謝改善や血行促進などが期待されているγ-オリザノールが豊富に含まれている点が特徴。オイルの味はクセがなく、さらりと喉を通っていく感覚で、酸化しにくいので揚げ物や炒め物にもOKとのこと。
ペルシャの恵み!
ピスタチオ油&ザクロ油
「オイル イン ライフ エキスポ」で日本初お披露目となったピスタチオ油は、オメガ3(リノレン酸)とオメガ6(リノール酸)のほか、オメガ7(パルミトレイン酸)、オメガ9(オレイン酸)、ビタミンEが豊富に含まれているオイル。野生のピスタチオが生い茂るイランの山奥では、美と健康のためにペルシャ時代からオイルを愛飲していたのだとか。かすかに香ばしさを感じる風味で、アイスクリームやヨーグルトにかけると相性がよさそう。このピスタチオ油を日本で取り扱うニニ社はほかにも、イランが原産地であるザクロの種子から抽出したオイルも取り扱う。クレオパトラも愛用したという言い伝えもあるザクロオイルは、女性ホルモンを助けるほか、高い抗酸化力を持つといわれるプニカ酸が多く含まれているそう。
南米のスーパーフード、サチャインチ油
ペルーのアマゾン地域の原産で、「古代インカのピーナツ」と言われるサチャインチから抽出したオイルで、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が多く含まれているほか、γ-トコフェロールも豊富。葉野菜のような青みを感じる独特の風味が特徴で、同オイルを取り扱う研光通商によると、「加熱調理には向かないのでサラダにかけたりスムージーに入れたり、スパイスと混ぜてソースを作ったりするとよい」とのこと。2000年代半ばに日本でも取り扱いが始まったものの、まだまだ“知る人ぞ知るオイル”という存在だ。まずはサチャインチ自体の魅力を伝えることも大切かも!?