ニューヨークからお送りしている「コレクションにまつわる、アナタの質問にお答えします」企画は、同行するビューティ担当記者の頑張りもありまして、早くも5回目です。本日は「ショーの開催日時は、カブらないようにお互い配慮しているのですか?」について、お答えしようと思います。
この答えはズバリ、「メジャーなブランド同士、仲間のブランド同士はカブりません」。つまり、そうじゃないときは「カブる時もあります」です(笑)。そんな時、私たち取材陣は二手に分かれたり、断腸の思いでどちらかを諦めたりしています。
そもそも上のリンクのように、アメリカ・ファッション評議会の会長に就任したトム・フォード(Tom Ford)が日程を大幅短縮したニューヨーク・コレクションは今回、スケジュールがパツパツ気味。スケジュールは短くなっても、参加ブランド数は変わりませんから、ショーの時間がカブるブランドが複数出てくるのは必然です。
例えば今回は、9月7日の20:30から「クロマット(CHROMAT)」が、30分後の21:00から「ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)」がそれぞれのショーを開催しました。2つの会場はそれほど離れていませんでしたが、「クロマット」はおよそ1時間、「ラルフ ローレン コレクション」は約40分遅れてのスタートでしたから、どちらもショーが始まったのは21:30ごろ。となると、両方見に行くのは不可能です。
でも、正直コレで困るのは、「WWDジャパン」くらいで、ほかの皆さんには大きな影響がありません。理由は、「2つのブランドは違いすぎて、ゲストも全く異なるから」です。
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この2枚の写真を見ていただければ、その違いは歴然でしょう。「ラルフ ローレン コレクション」と「クロマット」の観客は、全然違います。取材するメディアも、洋服を買い付けるバイヤーも、顧客だって違います。だから2つのショーは、カブってもぶっちゃけ問題ないんです。
とはいえメジャーなブランド同士は、お互いがカブらないよう配慮し合うし、最近はこうした有力ブランドがファッション・ウイークの最初から最後までまんべんなく散りばめられるよう、皆で相談し合っています。
上のリンクはまもなく開幕するミラノ・コレクションのスケジュールに関する記事ですが、これによると「グッチ(GUCCI)」や「プラダ(PRADA)」「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「マルニ(MARNI)」などのメジャーブランドは、会期中のある数日に集中しないよう、まんべんなく散りばめられました。理由は、「みんなに、なるべく長くミラノに滞在して欲しいから」です。
メジャーブランドのショーが集中してしまうと、来場者は旅程を短縮しがち。すると若手ブランドのショーやプレゼンなどを訪れる時間がなくなってしまいます。ファッション・ウイークの主催者にとっては、憂慮すべき問題です。そこでニューヨークやミラノはメジャーブランドをまんべんなく散りばめ、来場者になるべく長く現地に滞在してもらう作戦を展開。合間に他のブランドも見てもらおうと画策しているのです。