9月9日のニューヨークは、今日も晴天。最高気温は26度。台風一過の日本に比べればマシですが、ニューヨークも暑いです。さぁ、今日も含めてファッション・ウイークは残り3日!!ラストスパートです。
11:40 ザ・ロウ
今日の一発目は、「ザ・ロウ(THE ROW)」。予定開始時刻は、11:30です。
いやぁー、昨日の「パイヤー モス(PYER MOSS)」が終わってUberで車を呼んで、ホテルに戻ったのが24:00。そこから原稿書き始めて、寝たのは2:30くらい。時差ボケも治らない42歳男子にとって、今日のスケジュールは実にありがたい!しかも「ザ・ロウ」はホテルから近いし、毎回ほとんど遅れないから時間も読めてなおさらありがたい(笑)。天気も良いし、ウキウキしながら向かったショーで、トレンドがいよいよ変わってきたことを感じます。
「ザ・ロウ」は、今までボリュームのブランドでした。ドレスは時にテントラインで、コートは軒並みコクーンシルエット、ジャケットもボックスシルエットが主流で、体を“なぞる”というよりは“覆う”ブランドでした。
それが今シーズンは、なんということでしょう(「大改造!!劇的ビフォーアフター」風に)。ジャケットはショルダーラインがほぼ水平で力強く、ウエストは高めの位置でしっかりくびれています。ブルゾンは、スタンドカラーのジャストフィット。ドレスもボディコンとまではいかないものの、ストンと真下に落ちるシルエットが多く、ボリュームウエアとは一線を画しました。とはいえバイアスに裁った生地、ジャージー、リネン混のハイゲージニットが変わらぬリラックスムードを提供します。ごくごく淡いパステルカラーのシャツは、センスの良さだなぁ。
12:40 ディーゼル レッドタグ プロジェクト
気持ちの良い天気の中、ソーホーまで歩いて拝見したのは、「ディーゼル(DIESEL)」のアーティストコラボプロジェクト「ディーゼル レッドタグ プロジェクト(DIESEL RED TAG PROJECT)」。今回は「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」のサミュエル・ロス(Samuel Ross)とタッグを組み、12月4日にコレクション発売します。
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サミュエルらしい、近未来感漂うワーク、マルチポケットやファスナー使いが特徴のブルゾンやベストをペイントデニムで提案です。「ディーゼル」のレッドタグが付く洋服ですが、もちろん、このロゴも入ります。
13:20 アリス アンド オリビア
さぁ、今日イチ気合いを要するプレゼンテーションの時間がやってまいりました。「アリス アンド オリビア(ALICE + OLIVIA)」です。
「え、意外⁉︎」って思うかもしれませんが、このプレゼン、実に体力勝負なのです。
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というのも、まずはこの行列。毎回、オペレーション悪いですねぇ(笑)。会場のキャパシティーに対して、ゲストを呼びすぎじゃないかしら?まずはこの行列&会場の大混雑で、42歳男子は、魂を吸い取られるような感覚に陥るのです(笑)。
そして昨日の「パイヤー モス」が「黒人の、黒人による、黒人のためのブランド」なら、「アリス アンド オリビア」は「女子の、女子による、女子のためのブランド」。42歳男子、これほど“アウェイ感”を覚えるプレゼンは、なかなかありません(苦笑)。今回は、「女子の夢の中のボヘミアン」的なコレクション。女の子の夢だから、色はパステル。何がなんでもパステル。そしてお花とフワフワ。「ラブ度」120%です。
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「インスタ映えするなぁ」。42歳男子は、このくらいの感覚でコレクションを見ていますが、隣のガールズ2人組は揉みくちゃにされながら「アタシ、あのドレス絶対買うの!」「え、丈長すぎるよ。もっとミニが良いって‼︎」とキャッキャしています。パワーあるなぁ(笑)。
洋服にいろんな想いを散りばめるクリエイションもアリですが、本能的に「カワイイ!」っていう(だけの)コレクションもアリ。「アリス アンド オリビア」の洋服でキャッキャ言ってる女の子たちを見ると、ブランドが築くべきはコミュニティーなんだなぁと再認識します。
15:30 3.1 フィリップ リム
お次はブルックリンに移動して「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」。今回からメンズとウィメンズの合同ショー。昨日のインタビューでフィリップは、「一番サステイナブルなのは、いつまでも着られる洋服を提案すること。最新コレクションは、そのニュー・バージョンであることが望ましい」と話していましたが、その通りのコレクションでした。
独特のシルエット、ドローコードやサッシュベルトによる自由自在なボリュームコントロール、タイムレスに着られることを約束するベーシックカラー。そこにシーズナルなレザースカーフや、着脱式のレザーラペルを組み合わせれば、2020年春夏バージョンに大変身です。独立系デザイナーとして、まさに独立独歩で大きくなったブランドは、クリエイションにブレがありません。ものすごく新しいかと問われたら、そうじゃない。でも、ピュアホワイトやコットンポプリンなど、20年春夏らしさはちゃんとある。そのバランス感覚を再発見しました。
メイクは、今回も「UZU」がサポート。業界で話題の理系経営者、今村洋士さんにもご挨拶できて、大満足です。モデルのアイラインには今回、「UZU」のアイライナーがガッツリ入りました。
17:30 アナ スイ
昔、大好きな安野モヨコのマンガ「ジェリー ビーンズ」の中で、パジャマみたいな洋服が「パジャミー」と表現されていて、「なんてカワイイ形容詞なんだ!」と思った記憶がありますが、「アナ スイ(ANNA SUI)」は、まさに「パジャミー」でした。
パジャマシャツとパンツ、ネグリジェ、その上から羽織るスエットのカーディガン、そしてシーツをリメイクしたようなカフタンドレス。それらがレトロなパステルカラーと、小花柄やペイズリー、フリルとレースで彩られます。ヘアなんか、完全に寝起きです(笑)。
余談ですが、安野モヨコは「寝起きも魅了的な女性」を「寝ぐさい女」と表現し、憧れていたように記憶しています。今回の「アナ スイ」のモデルは、「パジャミー」な洋服で、実に「寝ぐさい」。さては、読んだな、安野モヨコ(笑)!?
18:25 ジプシー スポーツ
「ジプシー スポーツ(GYPSY SPORT)」は、な〜んにもお知らせしてくれなかったのに、入場にはIDがマスト。僕はその時、クレジットカードしか持っておらず、交渉しましたが屈強なガードマンはウンともスンとも言わず(苦笑)、後輩に託しました。
20:25 トム フォード
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さぁ、本日のラストは、アメリカ・ファッション評議会の会長に就任したトム様の「トム フォード(TOM FORD)」です。会場は、使われなくなった地下鉄のホーム!今回の招待客は、100人強かな(会長なのに!!)?非常にレアな会場の、貴重な機会にお招きいただきました。
さすがは会長。スマッシュヒットでした。新しい!!スポーティなタンクトップに贅沢なシルクタフタのスカートから始まったコレクションは、サテンのような光沢素材をギャザリングするなど手仕事満載なのにジャンプスーツとか、生地をバイアスに断ったキュロットを軸にしたテディボーイスタイルなど、ミックステイスト半端なし。エレガントなのにスポーティーでリラックス。ストリートなのにラグジュアリー。フォーマルなのにセクシー。そしてレトロなのにビビッド。ビビッドカラーなサテンのパワフルジャケット、ソフトなキュロット、ピカピカレザーのブラトップ(いや、ブラジャー)、上質素材のタンクトップ、そしてマイクロミニのホットパンツ。こうした基幹アイテムを自由奔放に組み合わせると、こんなにいろんなスタイルが楽しめるのか!というコレクションです。「グッチ(GUCCI)」の頃のエロスとは全然違う、イケイケというよりは自然体のセクシー。
フィナーレのトム様は、相変わらずサングラスでキメてましたが、かつてのアンタッチャブルというムードではありません。ゲストの数は少ないけれど、大きな拍手に囲まれて堂々のご挨拶でした。