ファッション

オシャレで好奇心旺盛な50代女性がターゲット 中澤淳司/「ハーズ」編集長

 「ハーズ」は、人生経験があり、購買欲旺盛な50代女性の支持を集め、創刊6周年を迎えた。2013年4月号からは表紙モデルに賀来千香子を起用し、さらに好評を得ている。同誌のテーマは、「50代からの“いい女像”への挑戦」。子育てを終え、お金と時間を使えるようになり、これから人生を楽しむ!という“新たな出発感”に溢れている。今後どのような雑誌を目指していくのか。

WWDジャパン(以下、WWD):13年4月号(13年3月12日発売)から、萬田久子さんに代わり賀来千香子さんを表紙に起用しているが、反響は?

中澤淳司・編集長(以下、中澤):絶好調です。賀来千香子さんが弊社の「JJ」で表紙を飾っていた頃の読者が、ちょうど「ハーズ」を読む世代になってきています。「ニュートラ」「ハマトラ」というファッション・ムーブメントをつくった世代が、「ハーズ」の読者です。彼女は、読者にとって、等身大で少し背伸びをすれば手が届く、ちょうど良い憧れの存在なのだと思います。

WWD:誌面作りで心掛けていることは?

中澤:何かしらページに仕掛けをしています。ベテラン読者に「こんなの見たことない」って新鮮に感じてもらえるよう、商品の見せ方撮り方にこだわっています。

WWD:読者に人気の企画は?

中澤:企画は、読者スナップが一番人気です。主婦の方たちは周りが何を着ているのか、すごく気になるみたいですね。同じブランドでも、どう着こなすかは人それぞれですから、「これはアリ」「これはナシでしょ!」ってツッコミを入れたいのだと思います。

WWD:読者は、どういう店で買い物をするのか?

中澤:読者は百貨店でも買い物をするけれど、「ロンハーマン」や「エストネーション」などのセレクトショップが好きな方が多い気がします。1回の買い物の購入単価が高いのはイメージどおりですが、決して高価な服だけを着ているのではなく、例えば「ザラ」など併用して、上手にオシャレを楽しんでいます。人とはかぶりたくないので、ラグジュアリーブランドだけで揃えるのではなく、自分らしいコーディネートを楽しみたいという意識が強い気がしますね。

WWD:誌面構成は?

中澤:構成は、ファッション50%、美容15%、食20%、それ以外15%という割合です。ファッションページを見て、その場で「すぐ欲しい!この服はどこで買えるのか?」と問い合わせをしてくれる読者も少なくなく、とても購買意欲が高いんです。また、スタイリストの高橋みどりさんが商品企画を行っている、通販ページも人気です。実際に彼女が買い付けに行って、欲しいと思ったものばかりなので、読者にも共感されるのではないでしょうか。

WWD:「ハーズ」が目指す雑誌を一言で表現すると?

中澤:僕は「男は郷愁!女は冒険!」だと思っています。だから、過去を振り返るばかりでなく、冒険心のある女性に支持される雑誌が作りたい。「ハーズ」の名前は、“SHE”の所有代名詞、50年間生きてきた女性の宝物、誇りを意味しています。50歳は、一言で表現できない。学校を卒業して、仕事をして、結婚をして子育てをして、たくさんの経験が重なって、一人の女性をつくり上げている。その、たくさん詰まった魅力を伝えられる内容にしたいと思います。現在、「ハーズ」は10万部の発行部数ですが、15万部を目指します。

WWD:キャッチコピーは?

中澤:当然決めていません。わかりやすい雑誌は作りたくないと思っています。「『ハーズ』って○○○○○だよね」とは、言われたくないんです。50代って、たくさんの経験をしているからこそ、一言ではまとめられない。人それぞれたくさんの人生があるからこそ、読者をセグメントしたくない。カテゴライズされるのは嫌なんです。

WWD:読者の共通点は?

中澤:あと数年で孫が生まれる世代、ということぐらいでしょうか。以前は、読者も家事手伝いや専業主婦という人が多くいましたが、最近は働いている方が増えてきました。基本は主婦だけど、趣味で○○○始めましたとか、自宅で教室を開いている方とか。人生をパワフルに楽しんでいる印象があります。読者層ですが、都心に住んでいる方から支持が大きいですね。東京、神奈川、関西で人気があります。

WWD:今後力を入れていきたい分野は?

中澤:引き続き、通販に力を入れていきたい。読者は、面白いと感じることに対する反応がすごく速い。しかし、この商品の対象は50歳代と括った時点で、反発して購入に至らないのが「ハーズ」読者の特徴。ホームページそのものは、スマートフォンに対応できるよう、ユーザーが見やすくわかりやすいページにできればいいと思っています。また、これからは“食”の分野にもっと力を入れていきたいですね。「ハーズ」の読者は、話題のパンケーキ屋や雑貨屋に並ぶのではなく、予約してゆっくり食事を楽しむ方が好ましいと感じる方が多いのではないかと思います。誰かと食事をしたいから話題も欲しいし、友人を大切にしたい。レストランに行きたいからオシャレをしたり、話題を持ちたいと思っているのではないでしょうか。人って、最後に残る欲はズバリ“食欲”。つまらない人と食事をしても美味しくない。「ハーズ」が取り上げる企画は、すべて美味しく食事をするのに必要なネタなのです。

WWD:中澤編集長自身については?

中澤:新しいものには、すごく興味があります。好奇心旺盛で、なんでもチャレンジするタイプ。男ですから読者を100%理解できているわけではないですが、いろんなことに興味を持って、少しでも理解したいと思っています。

WWD:中澤編集長は、どのようなスタイルで仕事をしている?

中澤:平日は、ストリートウォッチングをすることも多いです。場所は、青山が多いかな。ひたすら歩いて、お店を覗いたり、すれ違う人のファッションを見たりします。ガラス張りのヘアサロンを、外から見るのも楽しいです。いろんな人がいて、たくさんのことをしていて、みんな何に興味を持っているのかなと考えながら過ごすことが多いです。

我が編集部の自慢は?
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