ファッション
連載 コレクション日記

NYコレもドタバタ日記4日目 2つの百貨店を見比べた後は記者会見へ ファッション・ウイークはランウエイショーだけじゃない!!

 みなさん、こんにちは。昨日は、ついに1日日記を休んでしまいました(苦笑)。いよいよ、限界が近づいております。携帯電話で言えば、今の充電は「18%」くらい。もう、電池は赤色、そんな感じです。

 ということで、今日は趣向を変えまして、ファッションショー以外の取材からスタートしてみました。

9:30 ノードストロム

 今日の朝イチは、10月21日にマンハッタンにグランドオープンする百貨店ノードストロム(NORDSTROM)の内見会。と言っても、前日の9月9日に建築が一段落、什器と商品の搬入はこれからという段階ですから、まだ全貌はつかめません。とは言え、地下2階・地上5階、合計7層の百貨店のオープニング取材なんて、もしかしたら僕の記者人生の中で最初で最後かもしれません。日本では、改装はあれど、新装なんてないですからね。

 改装の詳細については、コチラの記事をご参照。EC化率が30%を超える百貨店は、「ヴァンズ(VANS)」から「ヴァレンティノ(VALENTINO)」までが一堂に会するシューズフロアや、全面ガラス張りの壁面など、日本の百貨店とは全然違いました。

10:45 セオリー

 ノードストロムの内覧会が予想以上に長く、しかも「セオリー(THEORY)」はプレゼンテーションと思いきやランウエイショーだったようで、間に合わず……。残念でした。

12:20 ガブリエラ ハースト

 お次は、「ガブリエラ ハースト(GABRIELA HEARST)」。世界的な売り上げはようやく10億円越え。ゆえに日本での知名度はまだまだですが、今年の頭にはLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY- LOUIS VUITTON以下、LVMH)が擁する投資ファンドのLVMHラグジュアリー・ベンチャーズ(LVMH LUXURY VENTURES)が資金を注入した注目ブランドです。ちなみに彼女のダンナ様は、出版社ハースト・コーポレーション創業者の孫であるジョン・オーガスティン・ハースト(John Augustine Hearst)。つまり、ええトコの奥様なのです。

 出自で人をジャッジするつもりはありませんが、ええトコのお嬢様や奥様は、ラグジュアリーのセンスと、社会的な使命感の双方を得るに恵まれた環境にあると思います。彼女はまさしくそんな環境を生かした人物で、サステイナブルなモノ作りに基づくラグジュアリーが、セレブを魅了しています。

 今シーズンもオフホワイト、つまり余計に漂白していないリネンを使い、ダーツを複数走らせることで体にフィットするシルエットを手に入れたジャケットなどを提案。ハイゲージのサマーコットンを天然染料でカラフルに染めたタンクトップやマルチなカラーブロッキングのワンピース、編み込みやフィッシュネットと組み合わせたトレンチコートやドレスなど、オーガニックなムード漂う手仕事ウエアを連発しました。

 そして出ました、今シーズンのマストハブ、ハンカチーフワンピです。「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」や「トリー バーチ(TORY BURCH)」でも登場。嫌いな人なんていない、清涼感と清潔感たっぷりのワンピは、フィット&フレアシルエットを楽しみたいものです。

13:25 トム フォード

 昨晩拝見した「トム フォード(TOM FORD)」の展示会へ。

 昨日のトム様、非常に多くの刺激を得てコレクションに至った様です。アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)やモデルのイーディー・セジウィック(Edie Sedgwick)がマンホールから出てくる時を捉えた1965年の写真、イーディーが身につけたシルバーのブラジャー、リュック・ベッソン(Luc Besson)の映画「サブウェイ」……etc。他にもイタリアの映画、「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」のコレクション、(息子には着せないけれどw)クラスメートが着るだろうナイロンのバスケットボールショーツ、カリーヌ・ロワトフェルド(Carine Roitfeld)のインスタグラムなど、過去から現在、アートからストリート、そして男性から女性、さまざまから得た刺激をモリモリ加えたそうです。なるほど、いかようにも変幻自在なスタイルの源は、多彩な着想源にあったんですね。

13:40 バーニーズ ニューヨーク

 次まで歩いて移動しようとすると、目の前にはバーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)。この記事のように、最近日本の民事再生法相当する法律の適用を申請つまり破たんした名門です。

 入り口には、「私たちは倒産しましたが、まだ営業しています。これからも皆さんに文化を紹介します。これでお別れではありません」というメッセージ。中は、そこそこ賑わっていました。

 破たんの主因は、ここニューヨーク・マディソンアヴェニュー地代などと言われますがどうでしょうかね?正直、「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)のパンプス積み上げたディスプレーとか見ると、「え、もったいない」と“罪の意識”が湧いてしまいますが、皆さんはどうでしょうか?高価なもの、ゆえに長く価値があるべきものを積み上げるディスプレーには共感できませんでした。

 店内にも入ってみましょう。地下ビューティ売り場の販売員は、そろって皆フレンドリーです。ただ、“手ぐすねを引いて待っている”感じがある。「カモられてる?」そうも感じます。

 朝イチのノードストロムとは、なにかが違います。キラキラしているのは、バーニーズです。でも、今買い物するならノードストロムなのかも。「私たちの世界にようこそ」というバーニーズと、「あなたの世界にジョインして良いですか?」というノードストロム、そんな感じがしてしまいました。

 ちなみに、これはアメリカの話。日本のバーニーズは、資本も含め、今はけっこう別モノです。

14:15 マイケル・コース

 毎回恒例、ランウエイショー前日の「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」のプレスカンファレンスへ。デザイナーのマイケル・コースが、ユーモア交え、事前に数ルックだけ見せてくれながら、さまざまを語ってくれました。

 これ、毎回楽しいんです。マイケルは人気TV番組「プロジェクト・ランウェイ(PROJECT RUNWAY)」に出演していたことも手伝い、トークが完璧。ユーモアを交えながら、明日発表するコレクションについて話してくれました。その中身は、この次の記事でお楽しみに。

15:30 ケイト・スペード ニューヨーク

 こちらも、先日拝見した「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」の展示会へ。もともとアクセサリーデザイナーだったニコラ・グラス(Nicola Glass)体制になってから、デザイン性と機能性を兼ね備えたバッグが増えました。ここでは、その写真をどうぞ(笑)。

17:30 コーチ

 全米最大の百貨店メイシーズ(MACY’S)の旗艦店をブラブラしながら、「コーチ(COACH)」のショーへ。会場は、ハドソンヤード。最新ショッピングスポットながら、所有者がドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に政治献金しているため、イロイロ言われている施設です。「コーチ」は、そのドタバタ劇の前から、ここに本社を構えています。

 スチュワート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)、大胆なクリエイションの方向転換です。

 今まで「コーチ」と言えば、シフォンのガーリーなドレスにボリュームコートのレイヤード。そこにフリンジやスタッズでデコったアクセサリーをプラスするスタイルでしたが、まずはシルエットが激変。色も随分大人っぽくなりました。バッグもシンプル路線です。コレは、なかなか思い切った決断です。特にアクセサリーは、ここ数年の努力でデザイン性の高い、比較的高単価のバッグが売れてきた「コーチ」。このシンプル回帰は、ビジネスにどう影響するでしょうか?とは言え、いつでも、どこでも、誰でも使えるシンプリシティと、スマホ時代らしいサイズ感は、時代の流れをちゃんと掴んでいる証拠。この変化は、吉と出るか、凶と出るか?その後、来場者の反応をイロイロ聞きましたが、賛否両論です。でも、それで良いんじゃないか、と思います。一番怖いのは、無反応、な世の中です。

 ショーには、モデルとして水原希子ちゃんも登場。1年前より堂々としたウォーキングで、周りのモデルと比べても遜色がありません。

19:30 オスカー デ ラ レンタ

 さぁ、今日のゴールも近づいてきました。お次は「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」。会場には、リンゴやオレンジ、それにレモン。フルーツいっぱいの会場は、「マンサー ガブリエル(MANSUR GAVRIEL)」と一緒だな。

 ドレスは、そんなフルーツ同様、元気いっぱいのビタミンカラー。ミニ丈やベアトップも多く、どんどん若くなっています。

20:35 プロエンザ スクーラー

 さぁ、最後はジャック・マッコロー(Jack McCollough)とラザロ・ヘルナンデス(Lazaro Hernandez)の「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)」。前回同様、ボックスシルエットでラペルの大きいジャケットを軸とした、1980年台のキャリアウーマンスタイルです。80年代のワーキングウーマンとは、2人のお母さん世代。クリエイションをパーソナルな家族と結びつけるのは、コレクションの共感性を高める良き手段です。

 前回は着脱自在なパーツウエア、まるで部品のような、洋服ともアクセサリーとも言えるハーネスのようなアイテムを組み合わせることでモード感を高めましたが、今回はドレープするインナーを組み合わせる程度で比較的シンプル。マニアック感は薄れ、永続性を手に入れました。たくし込み、結び、垂らすことで手に入れるドレープは、このブランドの真骨頂。ラペルの大きなフォーマルも、パンツが柔らかくドレープするだけで身近に感じられるモノですね。

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