米ギャップ(GAP)は9月12日、傘下ブランドの「オールドネイビー(OLD NAVY)」について今後800店以上を新たにオープンすると投資家向けのイベントで発表した。これによって同ブランドの店舗数は世界で2000店程度になるという。
同社は、好調な「オールドネイビー」を上場会社として独立させ、業績不振の「ギャップ」やその他の傘下ブランドの「アスレタ(ATHLETA)」や「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」などを擁する新たな上場会社を設立するという大胆な事業再編計画を今年2月に発表している。「ギャップ」など複数ブランドを展開する新会社のトップにはアート・ペック(Art Peck)=ギャップ社長兼最高経営責任者(CEO)が就任し、「オールドネイビー」の新会社は引き続きソニア・シンガル(Sonia Syngal)=オールドネイビー社長兼CEOが率いる。
シンガル=オールドネイビー社長兼CEOは、「新たな店の多くはショッピングセンター内ではなく、より小さな街に出店する予定だ。18年度の売り上げは80億ドル(約8400億円)程度だったが、独立するからこそ取れるこうした新戦略を実行し、売上高100億ドル(約1兆600億円)を目指したい」と語った。なお、19年上期はウィメンズウエアの弱さからやや苦戦しており、下期はデニムやフリース、アウターなどを強化することで売り上げを回復したいという。同氏は、「長期的には下着やビューティ、プラスサイズ市場を開拓する。当ブランドは80億ドルと大きな売り上げがあるが、スタートアップの精神で一丸となって尽力していく」と話した。
「オールドネイビー」とは対照的に、「ギャップ」は19年1月期決算で売上高が前期比2.9%減の51億6000万ドル(約5469億円)となるなど低迷が続いており、今後2年間で北米を中心におよそ230店を閉店すると発表していた。しかし、当初の予定より閉店数が少なくなる可能性があるという。
ペック=ギャップ社長兼CEOは、「引き続き『ギャップ』に出店していてもらいたいというショッピングセンターが多いことはうれしい驚きだった。予定通り閉店する店もあるが、出店を継続したいものの条件が折り合わない場合には、商業施設側と話し合いをしたいと思う」と述べた。同ブランドの成長戦略については、「デニムのシェアを伸ばすことに注力する。私が『ギャップ』のトップだった12年にはそうしていたし、ほかの傘下ブランドもそれで成功している」と説明した。
同氏はまた、「意思決定に関わる人数が増えすぎ、全員の合意を得ようとして決断が遅くなっていた。より迅速に経営判断ができるように、その人数を減らす予定だ」と組織改革を行うことも発表した。