7月11〜12日、イタリア・トリエステでITS(インターナショナル・タレント・サポート)のプレゼンテーションが行われた。若手デザイナーの登竜門と言われるアワードで、これまで10年以上にわたって開催されている。今回ファイナリスト40人のうち、日本人がのべ10人(8人が複数ノミネート)選ばれた。これほどまでに多く選出されたのは初めてのことだ。
ITSを主催するイヴのバーバラ・フランキン代表は「日本人のクリエイションは十分世界に通用する。ヨーロッパとは全く違う文化背景を持っているので、彼らのアイデアは刺激的。世界のメゾンで彼らが活躍すれば、ブランドにとってもいい影響を与えることができる」と語る。ファッション部門をサポートしている「ディーゼル(DIESEL)」のニコラ・フォルミケッティ=アーティスティック・ディレクターは「世界でもっと日本人が活躍していい。クリエイティブを評価される日本人は多いが、実際にビジネスにできているデザイナーが少ないのは日本国内のシステムに問題がある」と語る。
授賞式では日本人ファイナリスト8人のうち、4人が受賞。確かに日本人のクリエイティブは世界で通用する。その快挙に貢献したのが、「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」のデザイナー、山縣良和が主宰する「ここのがっこう」だ。その他、ファッション部門のファイナリストである木村康人の出身校、エス・モード学園でも山縣が教鞭をとっており、ノミネート8人のうち6人は山縣が直接指導した日本人デザイナーだった。木村は現在、アバハウスインターナショナルに勤務している。
「私はITSの受賞者でもあるが、『ここのがっこう』のアドバンスコースを立ち上げたときに、目標は高いほうがいいと、ITSでの受賞を目指してきた。それが1年目でグランプリを受賞した。そのときは『まぐれだ』と言われたが、このようにコンスタントに日本人デザイナーを送り込むことができてうれしい」と山縣は語る。「ここのがっこう」は「ヴォーグ・イタリア(Vogue Italia)」で、世界に影響を与える4校のひとつに日本代表として選ばれている。また、最近では「ヴォーグ(Vogue)」のファッションジャーナリストであるサラ・ムーアの取材を受けた。日本よりも世界で存在感のあるファッション学校に成長していた。
賞をとることが最終目的ではないが、最初からグローバルに戦える人材輩出を目指して指導する。これが日本のファッション教育において、さらに必要になりそうだ。
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