「ファッション・コレクション・オブ・ザ・イヤー」にはキャサリン・ロバートウッドが選ばれた。糸をいっさい使わないでカッティングだけで構築的なスタイルを披露。革新的なコレクションが評価された
2.日本人ファイナリストの木村康人は「サラリーマン」をコンセプトに選んだ。ショー スタジオ賞を受賞 3.ディーゼル賞にはファスナーを開け閉めすることでフォルムが変化する独創的なコレクションを発表したゾエ・ウォーターズ
7月11〜12日、イタリア・トリエステでITS(インターナショナル・タレント・サポート)のプレゼンテーションが行われた。若手デザイナーの登竜門と言われるアワードで、これまで10年以上にわたって開催されている。今回ファイナリスト40人のうち、日本人がのべ10人(8人が複数ノミネート)選ばれた。これほどまでに多く選出されたのは初めてのことだ。
4. ヴォーグ タレント賞を受賞した武田麻衣子の作品。彼女は現在「イッセイ ミヤケ」のデザインチームに所属
ITSを主催するイヴのバーバラ・フランキン代表は「日本人のクリエイションは十分世界に通用する。ヨーロッパとは全く違う文化背景を持っているので、彼らのアイデアは刺激的。世界のメゾンで彼らが活躍すれば、ブランドにとってもいい影響を与えることができる」と語る。ファッション部門をサポートしている「ディーゼル(DIESEL)」のニコラ・フォルミケッティ=アーティスティック・ディレクターは「世界でもっと日本人が活躍していい。クリエイティブを評価される日本人は多いが、実際にビジネスにできているデザイナーが少ないのは日本国内のシステムに問題がある」と語る。
5.スワロフスキー ジュエリー賞の中里周子の作品
授賞式では日本人ファイナリスト8人のうち、4人が受賞。確かに日本人のクリエイティブは世界で通用する。その快挙に貢献したのが、「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」のデザイナー、山縣良和が主宰する「ここのがっこう」だ。その他、ファッション部門のファイナリストである木村康人の出身校、エス・モード学園でも山縣が教鞭をとっており、ノミネート8人のうち6人は山縣が直接指導した日本人デザイナーだった。木村は現在、アバハウスインターナショナルに勤務している。
6.荒井貴文はミシンを使わずすべて手縫いで靴を制作
「私はITSの受賞者でもあるが、『ここのがっこう』のアドバンスコースを立ち上げたときに、目標は高いほうがいいと、ITSでの受賞を目指してきた。それが1年目でグランプリを受賞した。そのときは『まぐれだ』と言われたが、このようにコンスタントに日本人デザイナーを送り込むことができてうれしい」と山縣は語る。「ここのがっこう」は「ヴォーグ・イタリア(Vogue Italia)」で、世界に影響を与える4校のひとつに日本代表として選ばれている。また、最近では「ヴォーグ(Vogue)」のファッションジャーナリストであるサラ・ムーアの取材を受けた。日本よりも世界で存在感のあるファッション学校に成長していた。
賞をとることが最終目的ではないが、最初からグローバルに戦える人材輩出を目指して指導する。これが日本のファッション教育において、さらに必要になりそうだ。
■ITSファッション部門ファイナリスト10人がコレクションを発表
■キャサリン・ロバートウッドがITSファッション部門を受賞、日本勢も大健闘