大丸松坂屋百貨店は18日、建て替えオープンを20日に控える大丸心斎橋店本館を関係者に公開した。長年、御堂筋のランドマークとして親しまれた建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories)による内外装をほぼ復元。売り場全体の65%を定期賃貸借契約(定借)のテナントで構成しており、百貨店とショッピングセンターが混在した事業モデルで運営する。同店として2020年2月期の売上高890億円を計画する。
地上10階・地下2階に368ブランドが入る。御堂筋から見た低層部のファサードは建て替え前と変わらない重厚な作り。建て替え前のレンガや大理石などをほぼ全て再利用し、86年の歴史が感じられるようにした。1階の化粧品売り場の天井やエレベーターホールの装飾も67%のパーツを再利用した。一方でライゾマティクスによるデジタル技術を用いた壁面装飾を加えることで、新旧が融合した非日常の空間を演出する。
ファッションなどの物販は、親会社J.フロント リテイリングが運営するギンザシックス(GINZA SIX)と同じく、メンズ・ウィメンズのコンバインストアが多い。1店あたりの面積を広くとって、ブランドの世界観をしっかり見せている。特に2〜3階のラグジュアリーブランドが充実しており、同店が得意とする外商客や訪日客の取り込みを狙う。同店の西阪義晴店長は「従来の百貨店のような商品分類ではなく、ライフスタイルを切り口とした売り場を目指した」と話す。定借部分が過半を占めるものの、カードや各種サービスは百貨店のシステムを用いる。
そうした店作りにブランド側の期待も高い。国内婦人服アパレルの担当者は「ラグジュアリーな大丸心斎橋店の中で、感度の高いお客さまとの接点を広げたい」「アジアにも展開しているので、ここへの出店は訪日客へのアピールの場にもなる」と語る。