大丸松坂屋百貨店は9月20日、約4年にわたる工事期間を経て、大丸心斎橋店本館を建て替えオープンした。地上10階・地下2階に368ブランドが入る。うち化粧品は約68ブランドを占める。これは建て替え前の約1.5倍(1階のみ)のスペースにあたり、売り場は主に1階のほか、7階にナチュラル系ブランド、美容機器ブランドなどを集積する。
各フロアにテーマを設けており、1階の化粧品フロアのテーマは“圧倒的な美の空間”。建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories)の代名詞ともいえる天井のクラシカルな装飾と、10階まで続くエスカレーターサイドに設置された巨大デジタルサイネージが共存するなど、新旧が融合した非日常の空間として演出されている。
同店の南部光代マネジャーは、「内装でいうと特に天井が特徴的。ヴォーリズ建築のスペースと鏡面天井のスペースがあり、前者のスペースには主に建て替え前から導入している国産ブランド、後者のスペースには新規の導入が多いメイクブランドを配し、躍動感のある売り場を作り上げた。鏡面天井スペースのカウンターは、特に什器の天面にこだわっていて、天井の鏡に映ったときの見た目が華やかになるよう計算している」と語った。また、以前からあるクラシカルな多面体の柱を生かし、各ブランドのカウンターで柱を囲むようにデジタルディスプレイを設置するなど、印象的なVMDを形作った。
7階は、これまでの店舗よりもグリーンを多く配した「ハーバー」、アロマの香りに包まれて施術を受けられる「テラス アヴェダ(TERRACE AVEDA)」などを集積し、ナチュラルな雰囲気の中でゆっくりと買い物やサービスを楽しめる空間になっている。
新規導入ブランドは、メイクカテゴリーが最も多く「メイクアップフォーエバー(MAKE UP FOR EVER)」「アルマーニ ビューティ(ARMANI BEAUTY)」「アンプリチュード(AMPLITUDE)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」など。スキンケアでは「カバーマーク(COVERMARK)」「イトリン(ITRIM)」、フレグランスでは「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」「フレデリック マル(FREDERIC MALLE)」など「ジャンルによる偏りがないよう取りそろえた」という。
また、初展開としては「フレデリック マル」が単独ブランドの店舗としては日本初、「シャネル ビューティ ストゥディオ(CHANEL BEAUTY STUDIO)」がセルフ方式を取り入れたカウンターとして日本初、「クヴォン・デ・ミニム(LE COUVENT DES MINIMES)」が日本初の百貨店直営店、「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」が初のコンセプトショップ、「メゾン クリスチャン ディオール(MAISON CHRISTIAN DIOR)」が西日本初の導入となるなど話題性も高い。
一方で「エスケーツー(SK-II)」では、AI技術を取り入れた肌診断や、化粧品の感触までセルフで体感できるデジタルツールなどを用意。「ファイブイズム バイ スリー」では、「タッチアップしているところをあまり見られたくない」という男性からの要望を受け、“目隠し”の機能を果たすタッチアップカウンターを設置し、タッチアップしやすい環境を創出。「フリーマンズ スポーティング クラブ(FREEMANS SPORTING CLUB)」では、ワードローブと共に同じ世界観のバーバーサービスを提供する。
大丸松坂屋百貨店の親会社、J .フロント リテイリングの山本良一社長が「リアル店舗のあるべき姿を追求する」と語ったように、リアル店舗の最大の売りである“体験”を重視したサービスを提供していく。