2020年春夏シーズンのミラノ・ファッション・ウイークも中盤戦。3日目のブランドの中から、「マルニ」と「ヴェルサーチェ」をピックアップしてリポートする。
マルニ(MARNI)
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DESIGNER/フランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)
”アクト1”と題して6月に発表したメンズに引き続き、海洋プラスチック汚染を問題提起する”アクト2”のコレクション。「マルニ」を象徴するフラワープリントや色の掛け合わせの表現を更新しながら、自然の危機と愛しさを視覚的を訴えかけた。会場は、アーティストのジュディス・ホプフ(Judith Hopf)によるプラスチックの廃棄物で作ったジャングル空間を、リッソが”フラワー ソルジャー(花の戦士)”と呼ぶルックをまとったモデルたちが歩いた。”フラワー ソルジャー”たちは、リッソ本人がペイントした力強い花柄のスモックドレス群や、ドレープとギャザーを効かせたビビッドカラーのドレス、大花を刺しゅうしたフィッシュネットドレスを着ている。いずれもカラフルでダイナミックで、シルエットもユニーク。エプロン型のドレスからサイドスリットを入れたものまでレイヤードアイテムとして機能するアイテムがそろった。ジュリアン・ディス(Julien D'ys)によるヘアメイクは、全体をクレイで白く固めて、一部のモデルには花を装飾し、朽ちていく自然を比喩しているようだった。
ヴェルサーチェ(VERSACE)
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DESIGNER/ドナテッラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)
序盤は、2020年春夏最大のトレンドである、ボックスシルエットの“ジャケットルック”でスタート。とはいえ、ファーストルックは、ドレス。ジャケット同様の構築的なショルダーライン、深いVゾーンを有するスーツ地仕立てのボディコンドレスという「ヴェルサーチェ」らしい幕開けだ。ジャケットもシャツも、このブランドはパワフルに。タップルの肩パッドを入れて、ジャケットなら構築的かつパワフルに。ドレスならそこを起点に美しくドレープするジャージーの素材感を楽しむ。装飾はウエストマークするための細ベルト、それにゴールドのボタンだ。
中盤以降はグリーンのボリュームが増え、次第にボタニカルモチーフに侵食される。気づけばドレスは、ジャングルのように。かつてジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)がグラミー賞で着用し、「あのドレスは、一体どのブランド」と世界の人々がGoogle検索した”ジャングル・ドレス”をミニ丈にアレンジした。会場が暗転すると、「OK、Google。本当のジャングルドレスを着たセレブは誰?」というコメントとともに、本物のディーバが降臨。たっぷりのシフォンにジャングルをプリント。胸元をバックリ開けた、オープンバッグのドレスを見せつけ、ミラノ一番の拍手喝采に包まれた。