10:00 サルヴァトーレ フェラガモ
さぁミラノ4日目は、「上質な大人服」を堪能する1日です。最初は「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」。ショーは、屋外の気持ち良い空間で始まりました。
序盤は、今シーズンの推しアイテム、バルーンスカートを筆頭に、オーバーサイズのシャツドレス、ブルゾン、ステンカラーコート、サロペットまでがぜ~んぶレザー。レザーシャツをパンツの中にタックインできるのは、素材をごくごく薄く柔らかくなめした上で、正確なパターンワークを形にできるメゾンの力と言えましょう。
その後は布帛、ベロアと素材の軽さや柔らかさが増し、最後はオーガンジーのジャケットでフィナーレ。レザーも含めて素材は軽く、色はピュアで爽やか、絞り込んだアイテムは定番から逸脱しない安心感。だからこそ若い人は大人っぽく、年を重ねた女性は爽やかに映り、それぞれが美しい。(お金のある)若い人には「ピュアで、“オバさんっぽくない”から私も着たい」、年配の女性には「奇をてらわないから、私にも着られる」、そんなムードを提供してくれます。このコレクションライン、日本にちゃんと持ってきて、頑張って販売してほしいなぁ。
10:30 ボルサリーノ
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お次は帽子の「ボルサリーノ(BORSALINO)」。「アート&クラフト」をテーマに最近はイロイロ、ポジティブマインドで多彩な帽子作りに挑戦中です。
12:00 MSGM
「MSGM」は、ブランド設立10周年のアニバーサリーショー。このブランドと言えばフレッシュな色、大胆なロゴ、ほんのり感じるスポーツやストリートのムードですが、今回は色を押し出し、ロゴを封印。代わりにシルエットで遊びます。さまざまな色に染まったのは、フリルとラッフル、それにリボンで彩った “お人形さんドレス”。クロシェ編みのラペルなどがますます、「お母さんが作ってくれた洋服を着せ替えるお人形」感を醸し出し、思わず目が細くなります。
ラグジュアリー・ブランドのように大層で敷居が高いワケじゃないけれど、ドレスのオンパレードからは、Tシャツやスエット、スポーツウエアの次へのステップアップを試みるマッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)の意気込みを感じました。
13:00 チヴィディーニ
「チヴィディーニ(CIVIDINI)」は、ニットで有名。グラデーションの染色カーディガンが、南国ムードを盛り上げます。リネン混のカーディガンは、シワ加工しなくても良かったかな?ハイゲージニットは、その美しさを堪能したいかな、と思います。
13:20 ヴァレクストラ
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新作バッグは、マイケル・アナスタシアデス(Michael Anastassiades)とのコラボレーション。なんか美しくないですか、コレ?ショルダーストラップは、バッグをテーブルに置くと、勝手にこの形になるんです。こうなると、「ヴァレクストラ」だし、ほとんどオブジェですね(笑)。
13:35 ジミー チュウ
ほぼお隣の「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」へ。「自然や野生を、人工的に表現した」コレクションと言います。
ン!?ドウイウコトカナ?
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「わからん!」と思いながらバッグ&シューズを拝見すると、パイソンプリントのバッグは、激しい赤&シルバーの組み合わせ。ゼブラモチーフのパンプスにも、ネオンオレンジのパテントレザーが差し込まれています。野生の世界ではあり得ないカラーコンビネーションや素材使いで、ヘビ柄やシマウマ柄に由来する野生のイメージをさらに強烈なものとする。そんな意味だったんですね。
14:30 エルマンノ シェルヴィーノ
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15:30 フィロソフィ ディ ロレンツォ セラフィニ
母国イタリアで根強い人気のブランドたちは今シーズン、ガーリー気分が強めです。この2つも、まさに。風になびくシフォンドレスの上には、縦・横・斜めにフリルやラッフル。マカロンカラーのネグリジェドレス(ラブい!)もたくさん登場します。
16:30 ヴェルサーチェ
昨日の感動、再び!ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)が着たジャングルドレスが見たくて(笑)、来てしまいました。1 / 14
「もしかすると、JLO、ドレスは早速お持ち帰りしたかも……!?」と思いましたが、ありました!!ジャングルドレス!!アクセサリーの写真と一緒に、お楽しみください。
17:00 ジョルジオ アルマーニ
一昨日は「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」からバスケットボールの試合まで大活躍でいらっしゃったアルマーニさん。今回は、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」です。
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最初は、ブランドの次なるアイコンバッグの展示会へ。コレ、今シーズンその価値が一気に急上昇中の「タイムレス」なバッグで、良くないですか?しかもお値段は、ギリギリ20万円を切りました(税込になると、超えますw)。いつでも、誰でも、どこにも持っていけるバッグ。期待です。
そしてショーは、今シーズンのワン・オブ・ザ・ベストです。洋服って、こんなに美しくなるのですね。心の底から、そう思いました。
柔らかな素材を、さまざまなグレーや、ごくごく淡いスカイブルーとピーチピンクに染め、曲線的なジャケットやタック入りのテーパードパンツ、チュールのドレスを作ると、これほどまでに優しいスタイルが生まれるのかーー。丁寧に素材と色、柄、そしてシルエットを決めているのが、手に取るように伝わります。
ここ最近、アルマーニさんのクリエイションが、どんどん好きになっています。「年をとったから」なのかもしれません(笑)。でも理由はそれのみならず、残り少ないコレクションの発表を、1つ1つ丁寧に、楽しみながら迎えようとするアルマーニさんの思いが感じられるから。そんな気がしてしまう。クチュールも含めれば彼は年間10回、驚異的なペースでランウエイで発表するコレクションを生み出し続けています。けれど現実的に考えれば、彼にとっての発表の場は、残り100回もないでしょう。だからこそ「一球入魂」な姿勢が感じられて、ファン以外も巻き込もうと門戸を広く開放し始めた意気込みが見て取れて、でも、肩の力はしっかり抜けていて。そんなムードが心地よいんだと思います。
18:30 アニオナ
エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)グループのウィメンズブランド「アニオナ(AGNONA)」は、1980年代を思わせる構築的シルエット&オーバーサイズのジャケットがキーアイテム。今シーズンのトレンド、ど真ん中に直球を投げ込みます。本来はパワフルなシルエットですが、持ち前の柔らかな素材感でイケイケ感は幾分リアルに、落ち着きました。
19:30 ミッソーニ
この春改修が終わったばかりの、めちゃくちゃキレイで開放的な市営プールを会場に選んだ「ミッソーニ(MISSONI)」は、太陽光を蓄電し、ランプ(しかも明るい)や携帯の充電器として使える「リトル サン(LITTLE SUN)」をお土産に。ミラノのブランドも環境問題への意識がぐんぐん高まっています。
コレクションは、“元祖・地球のことを真剣に考えた若者”とも言える1970年代のヒッピースタイルに、リゾートのムードをプラスしたコレクション。ごくごく薄いハイゲージニットで、もはやチュールやシフォンのようなスケスケのマルチカラーニットから、フリルを加えたフレアパンツや開襟シャツ、ホルターネックでテントラインのドレスなどを提案します。マルチカラーのニットと、花柄をプリントしたシフォンのスカート、それに七色のスパンコールがキラキラのジャケットをどんどん重ねる超カラフルミックスは、見ているだけでウキウキです。
20:40 GCDS
本日の最後は、イタリアンストリートの「GCDS」。この「上質な大人服」の1日に、燦然(さんぜん)と輝く異端児、でありながら亜流です(笑)。
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ショーが始まると、ヤシの木が生える南の島から「ガォガォ」吠えるピンク色の恐竜が現れました(なぜw!?)。そしてモデルは、海外の人が考える“ニッポンKawaii”スタイル。クマさんのビキニ、ウサギさんのサンダル、キティちゃんバッグ、そしてアダルトアニメのブルゾンやミニスカ、ピンヒールのニーハイブーツが現れ(なぜなぜw!?)、ハッキリ言ってカオスです(笑)。
モデルは、デカ目になるカラコンを装着していて、お人形感が強目。はっきり言ってチョット怖い!
「上質って素晴らしい」「丁寧って大事だな」と思っていたラストに、このカオス。やっぱりファッションって面白いですね(水野晴郎風にお別れしたいと思います)。