ファッション

2020年春夏ミラノコレ4日目のハイライト 七色に輝く「ジョルジオ アルマーニ」と10周年の「MSGM」など

 2020年春夏シーズンのミラノ・ファッション・ウイークもいよいよ残り2日。ショーだけでなく、展示会やプレゼンテーションの開催も多い4日目から、4ブランドをリポートする。

サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)

DESIGNER/ポール・アンドリュー(Paul Andrew)

 レザーで作った、リラックスシルエットのシャツドレス、サロペット、ストレートパンツなどで幕開け。ピュアホワイト、スカイブルー、バターブラウンに彩られたレザーには、重厚感は微塵もない。2020年春夏メンズ・コレクションにも登場した、「フェラガモ」が改修施設を投じたフィレンツェの観光名所、シニョリーア広場のネプチューンの噴水をモチーフにしたマリンリゾート、厚底エスパドリーユなど、古典的芸術とメゾンのアイデンティティーを絡めつつ、清潔感に溢れ誰でも着られるアイテムを提案する。

 シフォンのマキシドレスや、その上にのせるフリルやラッフルのドラマ性に頼らず、むしろ装飾は削ぎ落とすことで、着られる人と汎用性を高めるアプローチ。カフタン、カシュクール、メンズならワンサイズオーバーくらいのブルゾンやジャケットが、レザーウエア唯一の欠点、通気性の悪さをカバーする。

ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)

DESIGNER/ジョルジオ・アルマーニ

 光沢あるベルベット、幾重にしても軽やかさを失わないチュール、レザーのカットアウトやビーズを通したフリンジで作る、ジャケット&ドレスのスタイルは、ごくごく淡いスカイブルーやピーチピンク、七色に輝き、素材の軽やかさをより一層際立たせる。チュールは幾重にも重ねたり、大きなコサージュにして首元にあしらったり、大きなストールに仕立てたり、オンにも使えるジャケットスタイルをイブニングにまで格上げした。

 ランウエイとした鏡のように、チャコールからライトまでグレーの素材は、いずれも強い光沢を放つ。生地を重ねたり、ファスナーを這わせることでうねらせたり、そもそも得意な流線型のパターンワークを多用したりで、その光沢を丸みを帯びた優しいオーラへと変換。袖を通す女性を“主役”に格上げしてくれるよう。

MSGM

DESIGNER/マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)

 ブランド設立10周年を記念したランウエイショーをトリエンナーレデザイン美術館の中庭で行った。招待状に同封されたジンの表紙には、“決して振り返らず、先にあるものを見ていく(Never look back, It’s all ahead)”というメッセージがスクラブルのアルファベットで表現されていた。この10年間、音楽や映画、時には日本の漫画やアニメまでさまざまなカルチャーに焦点を当ててきたマッシモだが、今季はこれまで築いてきた「MSGM」のブランドイメージそのものが着想源だ。楽天的なビビッドカラーのブロッキングや、フェミニンな花柄とレース柄、若々しいストリートフィーリングなど、ブランドが確立した要素をミックス。キャッチーな大きなボウタイブラウスを主役にしたジャケットスタイルから始まり、ネオンカラーのフリルドレス、花柄のシフォンドレス、総レースのセットアップなど、顧客が求めるブランドらしさが溢れるラインアップだ。その一方で、ショー終盤には、未来の「MSGM」を暗示させるロングドレスも数型提案した。色はポップなマルチカラーストライプもあれば、シックな黒もあり、アシンメトリーなフリンジディテールがエレガントだ。

ミッソーニ(MISSONI)

DESIGNER/アンジェラ・ミッソーニ(Angela Missoni)

 会場はロマンチックな雰囲気が漂う、電飾でライティングされた野外プール。客席には、ひまわりの形をした太陽光発電式LEDランプの”リトルサン”が置かれ、「今、地球にとって私たちが行動を起こす重要なタイミング。太陽と手を取り合いましょう」というデザイナーのアンジェラと、”リトルサン”を手掛けたアーティストのオラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)からのメッセージが残されていた。今季はアンジェラが自然の美しさに思いを馳せたコレクションだ。朝日と夕日をイメージしたグラデーションから植物を連想されるグリーンのバリエーション、マルチカラーのフローラルプリントなど、鮮やかでありながら、自然の豊かさを感じられる色とモチーフを多用している。一方で、アイテムは1970年代のジェーン・バーキン(Jane Birkin)とセルジュ・ゲンズブール(Serge Gainsbourg)のカップルの服装から着想を得ている。ジェーンのタイトドレスとカゴバッグを持ったスタイルと、ゲンズブールの開襟シャツとジャケットスタイル。また水着を合わせたサマーニットをはじめとするモダンなリゾートルックへと広げた。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。