2020年春夏シーズンのミラノ・ファッション・ウイーク、実質最終日の5日目。期間中は暖かく晴天が続いたが、ミラノ取材班の今季ラストショーとなった「グッチ」終了後には雨が降り注いだ。2ブランドをピックアップする。
グッチ(GUCCI)
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DESIGNER/アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)
過去5年で自らが築き上げた新しい「グッチ」像を、早くに古きものと捉え、それを軽やかに裏切った。性差を超えたスタイルや、カラフルな色使いはそのままだが、刺しゅうやパッチワークなどの装飾は皆無。柄もいつになく控え目だ。「正直、少し飽き始めていた」とミケーレが話す通り、大きなインパクトを放ったがゆえに瞬く間に世界中に広がって記号化した、ミケーレ「グッチ」の装飾主義が転換した。
古典的なセクシーを否定してきた、もしくはそこに興味を示さなかったスタンスも改める。肌をあらわにするチュールドレスやネグリジェには、ハーネスやムチ、首輪のレザーアクセサリー。今シーズンは、「セクシー」を語ることを恐れない。
飾らなくても良いこと、セクシーでも良いこと。振り切った新生「グッチ」を構築するがゆえに、振り返れば偏っていた方向性をフラットに戻し、ブランドの解釈の幅、何より着こなしの可能性をさらに一段階押し広げた。
ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)
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DESIGNER/ドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)&ステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)
壁面は生い茂る緑に、床はレオパードのカーペット。”ジャングルへようこそ(Welcome to the Jungle)”というBGMでスタートした今季は、まさしくアマゾンの熱帯雨林から着想を得たコレクションだ。全124ルックの序盤は、ベージュのサファリルックがずらり。ジャケットとショートパンツのセットアップ、オールインワンをはじめ、大きなポケット付きのサファリジャケットをドレスとしても提案する。そこから、森林柄やフルーツのほか、ヒョウ、ゼブラ、ジラフ、オウムなど野生動物のプリントや刺しゅうを入れたドレスをラインアップ。中盤にはラフィアを編み込んだ立体的なミニドレスも登場させた。
今季はブラジルのアマゾン熱帯雨林の火災など環境問題が深刻化するなか、自然の美しさを表現したブランドが多かった。それは直接的なサステイナビリティーにはつながらないものの、環境保全や自然愛護のマインドへの喚起にはなるだろう。