2020年春夏のパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)取材でパリに来ています。個人的に5年振りのパリコレ取材なので、ショーを見るだけでなく張り切って街もパトロール中!そんなわけで、到着翌日に勇んで向かったのはまずシャンゼリゼ通り。言わずと知れたパリ観光の名所中の名所です。「シャンゼリゼだなんて、この人、仕事を忘れて完全におのぼりさんモードだ……(絶句)」と思ったそこのアナタ!ノンノン!ここにはパリ出張中のファッション業界人にとって見逃せない新スポットがあるのです。パリ百貨店界の雄、ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)が今春開いた新店がそれです。
地下鉄フランクリンルーズベルト駅を出てシャンゼリゼを凱旋門に向かって歩けば、目当ての新店はすぐにあります。パリらしい重厚な石造りの建物ですが、入り口部分はLEDライトが仕込まれていて宇宙船のようにスペイシー。海外からの観光客が多い地域なので、皆さん「一体これはなんだ?」と写真を撮っていました。それにまぎれて私もパシャリ。この店、“どこをとってもインスタジェニック”を打ち出しているため、店内もどんどん撮影してくださいというスタンス。おかげで私も心置きなく撮影できました。
入ってすぐの吹き抜けスペースという店にとっての最重要スポットでポップアップを行っていたのは、歌姫リアーナ(Rihanna)がLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン傘下で今春立ち上げた新ブランド「フェンティ(FENTY)」。パリコレに合わせ、9月23日から10月12日まで実施しています。パリでのポップアップは、5月のブランド立ち上げ時以来2回目(全世界でもまだ3回目)だそう。
ラファイエット・シャンゼリゼ店の「フェンティ」押しっぷりはこれだけに留まらず、2階へ続く階段に並ぶマネキンに飾られていたのも「フェンティ」。その階段を登りきったところにあったのも「フェンティ」の靴とサングラス売り場、その左側に「フェンティ」のウエア売り場と、「フェンティ」尽くし。価格はプリントTシャツで150ユーロや190ユーロ。コルセットのようにウエストを絞ったデニムジャケットが900ユーロ前後。LVMH傘下なだけあり、Tシャツなども非常にしっかりした素材感です。
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「フェンティ」以外の1階は、お土産感覚のガジェットやおもちゃが充実しています。今はなきパリ名所、コレットの1階を思い起こさせる品ぞろえです。恐らくそれを意識している部分もあるのでは。そして、奥はビューティコーナー。ここの香水の品ぞろえがすごい!鏡を使った陳列も美しい!
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2階はコンテンポラリーゾーンの雑貨が大充実
2階は私的にこの店の編集力を感じて最も楽しかったフロア。デザイナーズやコンテンポラリーのウエアやシューズ、バッグ、アイウエアなどが並びます。吹き抜けを囲むバッグのコーナーは特に充実しています。日本でも今は3〜5万円台のコンテンポラリーゾーンのバッグブランドが人気ですが、まさにそういったマーケット狙いのバッグがこれでもかと並んで選びたい放題です。
ロンドン拠点の「レジーナ ピョウ(REJINA PYO)」のお弁当箱型バッグはその代表格。このバッグ、日本ではまだあまり見かけませんが、インフルエンサーへのギフティングがうまいようでこちらでは結構よく見掛けます。あとは「コペルニ(COPERNI)」、最近日本でもよく見る「ダンスレンテ(DANSE LENTE)」や「スタウド(STAUD)」、コペンハーゲン発のコンテンポラリーブランド「ガンニ(GANNI)」、初めて見たけど超かわいかったビーズバッグの「スーザン アレクサンドラ(SUSAN ALEXANDRA)」など。
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そんな風にコンテンポラリーの雑貨ゾーンを楽しんでいると、気付けばメンズコーナーに。男女の境界が曖昧な感じが今っぽいです。「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」や「アンブッシュ(AMBUSH)」が並ぶストリートコーナーでフィーチャーされていたのは、ニューヨークを拠点にする川西遼平さんの「ランドロード(LANDLORD)」。スニーカーの品ぞろえとその美しい陳列も圧巻です!スニーカーと共に、現代アートのようなアイウエアの陳列も一見の価値アリアリです。
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3階はラグジュアリー ドーバーが編集したジュエリーも
最上階の3階はラグジュアリーのフロア。エスカレーター降りてすぐのベストポジションは、ドーバーストリートマーケットが編集するエッジーなジュエリーコーナーでした。ドーバーはマレにビューティの館を10月にオープンする予定で、パリコレ中に内見会も開催される予定です。3階には吹き抜けを囲むようにポップアップコーナーが何カ所か設置されているのですが、その全てで打ち出していたのが、新生「ボッテガ・ヴァネタ(BOTTEGA VENETTA)」。3階には、先日の「グッチ(GUCCI)」のショーのような“動く歩道”式VMDポイントもあって思わず写真を撮りたくなります。
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この店、インスタ映え以外にももう一つポイントがあります。それはパーソナルスタイリングサービス。軽く話をした販売員さんは「ニーズを言っていただければ、それに合わせて商品をご案内します。販売員ごとに担当売り場は決まっていますが、要望があれば他の売り場のスタッフにつなげますよ」と言っていました。どうやら、三越日本橋本店のパーソナル接客と同じ感じのよう。ギャラリー・ラファイエットのオスマン本店でも同様のサービスがあるのかと聞くと「一部はあるだろうけど、基本的にオスマンの店に入っているのはブランドの直営店だから、販売員が他のブランドの商品を紹介するのは難しい。シャンゼリゼは一部委託契約で仕入れているブランドもあるけど、基本的にラファイエットが買い取っている編集売り場だからブランドを越えて提案できる」という話でした。なるほど!
デパ地下のフードコートは要改善? スタッフTシャツも販売中
ファッション中心に紹介しましたが、地下1階は食品フロア。日本のデパ地下と同じ感覚ですね。缶詰や調味料など、パリ土産がそろうほか、食品売り場のオリジナル商品(マグカップやキャップ、スタッフTシャツなど)もありました。しっかりビジネスしてますね。そして、おしゃれなフードコートも入っていたので、私もオーダーしてみました。具が詰まりに詰まったサンドイッチと選べるサラダ3種、ジュースのセットで19ユーロ。私はサラダの1つが追加料金がかかるタイプだったので、本当はもう少し安いはずです。
ただ、これ全部紙皿で出てくるんですよ。エコじゃないしおしゃれじゃないし、皿が軽くて動くから食べづらいし、なんといっても19ユーロも払ってるのに紙皿ってどうなの?と、ここはかなり要改善ポイントだと感じました。フードコートだけ見れば、ロンドンの高級百貨店ハロッズとかの方がエンターテイメント性も高くて好きです(あちらはもはやフードコートではない料金取られるけど)。
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以上、ファッション業界人としても、いち観光客としても楽しめる、ギャラリー・ラファイエットの新店。パリ出張中の方はぜひ出掛けてみてはいかが。