ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が健康上の理由で不在と事前にアナウンスされていた「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」の2020年春夏ウィメンズ。トレンドがストリートからクラシックに回帰していることも重なって、「以前より盛り下がっているのでは?」といった前評判もあった。しかし、蓋を開けてみたら今季もエントランスはヴァージルファンのキッズでごった返し、招待状を持っていても入れないのではと危惧するほど。おかげで、ショーは50分押しでのスタートとなった。
ショー前にバックステージを尋ねると、こちらもヴァージル不在で意気消沈、といったムードとは無縁。このブランドではおなじみなジジ・ハディッド(Gigi Hadid)、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)姉妹がリラックスした様子でヘアメイクを受け、日本人モデルではヴァージルと親交の深い「アンダーカバー(UNDERCOVER)」高橋盾の娘、高橋ららの姿も。ショー開始直前はファーストルックを写真に収めようとするカメラマンたちが押せや押せやの状態で、エントランス同様、こちらも大混雑だった。
ショー会場であるポンピドゥー・センターの地下は、丸く作られたランウエイの中心にイスが並ぶ。陸上競技場のように会場を作り込んだ19年春夏、自動車レースのチェッカーフラッグよろしく床が碁盤の目状になっていた19-20年秋冬に比べると、かなりシンプルで正統派な作り。そこに登場したモデルは、白いシャツドレスやノットやラッフルをポイントにしたトップスにドレスと、こちらも比較的シンプルだ。テーマは“メテオ シャワー(流星群)”。ランニングトップスやパンツは、隕石が落ちた穴のような丸いカットアウトから肌がのぞくが、ブーツやハンドバッグも丸く穴が開いていて、それはどことなくチーズの断面のよう。
マクラメ編みや、ブランドアイコンのクロス印などのキラキラアクセサリーが今季らしさを添える。メイクもラメやグロスでキラキラにしているのがポイント。ブランドらしさを象徴する、パラシュートクロスを使ったスポーティー×エレガンスなドレスは今季も健在だ。ただ、ルック数が37といつもより少ないこともあってか、迫力や新鮮さはこれまでよりも欠けた印象。しっかり休養を取って元気になったヴァージルが、またパワフルなショーを見せてくれることを願うばかりだ。