パリコレ6日目は、「コム デ ギャルソン」「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン」など、ギャルソン一門がパワフルなショーを実施。「エルメス」はブランドの魅力である上質レザーに改めてフォーカスしたコレクションを見せた。
コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)
1
/
6
DESIGNER/川久保玲
優雅なクラシック音楽の調べと共に現れるのは、金糸を織り込んだ重厚なジャカード織りや立体的な花飾りの造形的なスタイル。襟が立ち上がるデザインや腰をおおうティアードの華美なボリュームは宮廷服を思わせる。それもそのはず、着想源となっているのは6月に発表したメンズに続き、ヴァージニア・ウルフ(Virginia Wolf)の文学作品「オーランドー」だ。「コム デ ギャルソン」は今冬ウィーン国立歌劇場で上演される同オペラの衣装制作も担当しており、いわば今回のコレクションはメンズから続く三部作の中の1つ。エリザべス1世時代のイギリス貴族の美青年が時を超え、性別を超える話として、ジェンダー研究で取り上げられることもある同作品は、男らしさ、女らしさの既成概念を揺さぶり、常に新しい美を追求してきた「コム デ ギャルソン」と親和性が高い。男性服の象徴であるスーツは内太ももが大きく開き、どきりとさせる。後半は一転、アートのような黒い造形を並べ、「あなたにはこれが理解できますか?」と問われているかのよう。
ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)
1
/
6
DESIGNER/渡辺淳弥
ファーストルックは肩がずるりと落ちるボリュームフォームのトレンチコート。それを脱構築・再構築し、さまざまなアイテムに変化させていく。プリーツやレース生地をトレンチコートのベルトやポケットなどのディテールと組み合わせたドレスに、トレンチコートをいくつもはぎ合わせた複雑なパターンのアシンメトリースカート。トレンチコートのフロント部分のみをビスチエのように載せたTシャツや蛍光カラーのレギンスなどでスポーツムードも取り入れ、軽さを出している。アメコミ風プリントやビビッドなグラフィックもポイント。スニーカーは、イギリス発のシューズブランド「ハイ-テック(HI-TEC)」とのコラボレーションだ。
エルメス(HERMES)
1
/
6
DESIGNER/ナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキー(Nadege Vanhee Cybulski)
洋服の大量廃棄問題がクロースアップされる中、タイムレスな魅力と価値がある服に改めて光が当たっている今シーズン。その代表格と言える「エルメス」は、ブランドのコアバリューであるレザーにフォーカスした。布のように柔らかなレザーを用いて、カジュアルなアイテムからスーツ、ドレスまでをそろえる。エクリュ、グレー、キャメル、ピンク、ネイビーなど繊細な色使いやパッチワークなどの職人技を生かしたデザインは時を経るほど魅力が増しそうだ。