ファッション
連載 編集長・向の今日は誰と会って、何食べた?

編集長はパリコレで何した?Vol.6 朝「ジュンヤ」、昼「ノワール」、夕方「ギャルソン」の3本立てに魂震わす

 パリコレ6日目は、コム デ ギャルソン社の3ブランドがショーを行ういわばギャルソンDAYです。土曜日ということもありパリの街中は車が少なく比較的穏やか。しかし、ショーはソウルに訴えかけてくるものが多く胸の中は一日中ザワザワしています。

9月28日(土)9:30
「ジュンヤ」は
トレンチコートを再構築

 “このブランドの店に行けば〇〇があるのではないか”と、特定のアイテムを想像できるブランドは強いと思います。“人とは違ったトレンチコートかデニムがほしい”と思ったら、私なら「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」に行きます。今季もトレンチ、デニム、白いシャツ&Tシャツといったスタンダードアイテムをベースに、ウエストラインをきれいにたたんだり、プリーツを加えたり形を再構築したアイテムがそろいます。

10:30
「ハイダー」で
デヴィッド・ボウイを連想する

 ハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)」では毎回、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)を連想します。ボウイの若い頃に会ったらこんな風にドキドキしたのかな。複数人のモデルが同時に歩いてくる演出は男女の境があいまいで、そんな違いはどうでもよいと思わせ、ただ歩いているだけなのに問答無用に美しい。着物ディテールを好むからかどこかサムライ風でもあります。着こなすのは難しいですけどね……。激しく研ぎすまされた美意識を持つハイダーはファッション界の宝です。

12:00
「ノワール」で魂がプルプル震える

 ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の二宮啓さんは底知れない。会えばひょうひょうとしているけれど、作り出す服はこれですよ!穏やかな人柄と作り出す服のコントラストが鮮やかすぎて底知れない。テーマとかストーリーとか戦略とか、そんなものは〇〇くらえ。手を動かし、美しいと思う形を作り出すだけ。なんて、本人は言わないけれど、そこを歩いているモノが二宮さんのソウルであることはわかります。東信さんによるヘッドピースに今回は苔を使っていることは、バックステージで確認しました。

 会場には、女優の三吉彩花さんの姿も。ファッションが好きで撮影の合間を見つけてプライベートで一人で来ているそう。ガッツありますね。「ノワール」がお似合いでした。

13:00
「アルチュザラ」でNYを感じる

 洋館での アルチュザラ(ALTUZARRA)」でのショーには、米「ヴォーグ(VOGUE)」誌の名物編集長アナ・ウィンター(Anna Wintour)も姿を見せ、NYコレクション感あります。実はアナは最近パリコレにあまり姿を見せないのです。

14:00
ベルギー「デルヴォー」の展示会へ

 世界最古と言われるベルギーのバッグブランド「デルヴォー(DELVAUX)」の展示会で、こちらはヒラオインクの平尾香世子社長です。笑顔をありがとう!新作の中でもいいなと思ったのがバッグにつけるアクセサリーと真っ白×ネオンカラーのコントラスト、それからカーヴィーな底の “Le Pin”。ピンクなどパステルカラーがカワイイです。

15:00
「ロエベ」の靴がよい!

 週末のパリは何かしらのパレードが行われ交通機関がマヒすることがしばしば。この日も複数のパレードが行われており、セーヌを渡る道がブロックされ車が渡れない!そこでパレ・ロワイヤルからサン=シュルピス教会まで20分歩いて「ロエベ(LOEWE)」の展示会へ。天気がよいからこんな散歩もたまにはよいです。途中、ルーブル美術館を振り返ると「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の巨大な広告が掲出されておりました。

 で、「ロエベ」ですが、靴がよい!!バッグはもちろん定評がありますが、靴もこんなに魅力的だったけ?ローファーやバレーシューズをベースにしたフラットシューズがツボです。

16:00
「セドリック」でトレンドチェック

 セドリック シャルリエ(CEDRIC CHARLIER)」は、シーズントレンドを取り入れるのが上手です。今季は、ネイチャープリント、レース使い、クラフト感ある装飾、ブルーデニム、メンズスーツのアレンジなどなど、やはりトレンドの答え合わせになりました。

17:00
さあ、ギャルソンです

 コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のショーでは派手な格好をした大人が世界中から集まり、“17歳の自分”に戻ったみたいな神妙な表情をしているのを見るのが好きです。パリコレはまぎれもなくビジネスの場ですし、競争の場でもありますが、この20分間だけは特別。なぜ自分がこの仕事をしているのかを再確認させてもらいます。

 川久保さんは今冬、ウィーン国立歌劇場で上映されるオペラ「オーランドー」の衣装を手掛けます。先に発表したメンズと今回のウィメンズはオペラで完成するいわば3部作の一部だとか。ちなみに、このオペラを見たさに12月に休みを取ることを決めチケットを予約した業界関係者を私は2人知っています。

20:00
一日の終わりに「エルメス」

 一日の終わりに「エルメス(HERMES)」の上質な世界に触れることができるのは精神衛生上よいことです。シャンパンを飲みながらショーが始まるのを待ちます。「エルメス」と言えばレザーであることは改めて言うまでもありませんが、今季はそのレザーに改めてフォーカスし、布のように扱い、染めて縫った服が多く登場しました。

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