アダストリアの19年3〜8月期は、本業のもうけを示す営業利益が71億円だった。前年同期が大幅減益だった反動で約13倍に跳ね上がった。「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ローリーズファーム(LOWRY’S FARM)」を中心に在庫コントロールを徹底したため値引き販売が抑制され、粗利益率が2.3ポイント改善した。自社EC「ドットエスティ(.st)」がリニューアルに伴う不具合で8月8日から休止(9月12日まで)になったが、3〜8月期業績への影響は限定的だった。
売上高は前年同期比3.8%増の1089億円で上期としては過去最高を記録した。ECを含めた既存店売上高は同4.6%増、そのうちECは5.0%増だった。アダストリア単体における主力ブランドの売上高は「グローバルワーク」が同6.2%増の198億円、「ニコアンド(NIKO AND…)」が同4.0%増の157億円、「ローリーズファーム」が同15.7%増の119億円。「グローバルワーク」は閑散期と期中・QR生産のバランスの見直し、「ローリーズファーム」は拡充した30代女性向け商品が成果を上げた。
29日に会見した福田三千男会長兼社長は業績回復についての手応えを強調する。「事業規模の拡大に伴ってスタッフもだいぶ増えたが、情報を共有して、速やかに問題を解決する体制ができてきた」。
国内のEC売上高は同16.0%増の202億円。国内売上高に占めるEC化率は19.4%(前年同期比1.8ポイント増)で、そのうち9.3%が自社EC「ドットエスティ」だった。「ドットエスティ」の会員数は19年2月期から約80万人増の約950万人に達した。
営業利益の大幅増益は粗利益率の改善に加えて、不採算・低収益店の退店によるコスト削減が効いた。純損益も44億円の黒字(前年同期は5億5400万円の赤字)に回復した。
20年2月期は当初予想を据え置き、売上高2250億円、営業利益100億円、純利益60億円とする。「ドットエスティ」の不具合や、それに伴う8月下旬に予定していたオムニチャネルサービスの延期などの影響は現在精査中だという。