百貨店の9月度の売上高(既存店ベース)は消費増税前の駆け込み消費を受け、大手5社全てが前年同月の実績を大幅に上回った。三越伊勢丹が前年同月比26.9%増、高島屋が同33.8%増、大丸松坂屋百貨店が同32.6%増、そごう・西武が同20.2%増、阪急阪神百貨店が同21.2%増。増税前の購入メリットが大きい特選、宝飾、時計といった高額品が売り上げをけん引し、月の後半からはボリュームの婦人服や化粧品なども活発に動いた。
三越伊勢丹は時計の売り上げが前年同月比約2.5倍で、50~100万円の比較的値ごろなゾーンが特に好調。宝飾(同約2倍)、ハンドバッグ(同約50%増)とともにけん引した。伊勢丹新宿本店の宝飾・婦人靴売り場、三越日本橋本店の時計売り場といった旗艦店の改装も追い風となった。大丸松坂屋百貨店は外商向けの催事の強化などが奏功し、宝飾品が同約2.4倍、特選も同69.4%増だった。
ボリュームの婦人服や婦人雑貨、化粧品は9月の後半から急激に売れ出した。「増税直前となり、価格に敏感なお客さまが文字通り駆け込んで来られた」(三越伊勢丹広報)。高島屋はブラックフォーマルの買い替え需要を喚起したことで売り上げが約50%増。不要になったブラックフォーマル品を持ち込むと10%オフのクーポンを得られるキャンペーンが好評だった。そごう・西武は「増税前の大正解」と題し、高額のコートやカシミヤのマフラーなど長く愛用できるアイテムの打ち出しを全店で強化して、婦人服全体で15%増。阪急阪神百貨店ではインポートダウンや高級肌着がよく売れた。
化粧品は、定番ブランドの基礎化粧品が好調だった。大丸松坂屋は同50%増。高島屋は同30%増だが、為替の影響で売り上げを落とした免税売り上げを除けば50%増だった。
各百貨店は10月以降の買い控えを見込み、軽減税率対象となる「食」の催事で集客を図る。高島屋は2日より、人気の高い北海道物産展を大阪店で開始し、会期は例年より1週間延ばす。そごう・西武も同様に食に関連するフェアを企画して集客、ファッションフロアなどへの波及効果を狙う。