官民ファンドのクールジャパン機構は、ニューヨーク発のワーキングウーマン向けアパレルD2Cブランド「エムエムラフルアー(M.M. LAFLEUR)」に20億円の出資を決めた。日本製のテキスタイルを多く採用する同ブランドの、商品ラインナップの拡充やマーケティング強化といった事業拡大を促す。これにより、日本の技術やテキスタイルの魅力をアメリカの働く女性に発信するとともに、ブランドと日本各地の生地・素材メーカーとの取引拡大を支援し、国内の繊維産業を発展させることが狙いだ。
「エムエムラフルアー」は金融業界出身の宮澤沙羅CEOと、NYのデザイナーズブランドでデザインを経験してきた中村美也子チーフクリエイティブオフィサーらが2013年に設立した。洗濯可能、シワになりにくいなどの機能性とデザインを両立させたアイテム(75~495ドル)を幅広いサイズで販売。米国のワーキングウーマンを中心に人気を博す。現在、全米に8店舗を構えるが、在庫は置かず、来店者は店舗在中のスタイリストに直接相談しながら試着し、オンラインで商品を注文する仕組みを取っている。そのほか、VIP向けによりパーソナライズされたスタイリングを提案する「キズカイ(KIZUKAI)」や、消費者のアンケートをもとにスタイリストが選んだアイテムを箱に詰めて送る「ベントウ(BENTO)」など、ワーキングウーマンのライフスタイルやニーズに合わせたサービスを提供している。
中村チーフクリエイティブオフィサーは今後の商品の拡充について「クールジャパンには、日本の生地屋や加工屋、縫製工場などを紹介してもらっている。当社のブランドの商品では、“コア”と呼ばれるヒット商品の多くが日本製。その“コア”商品の増加に加え、日本の素材や特性を生かした商品を作っていきたい」と説明する。宮澤CEOは「クールジャパンにはアパレルの専門家もおり、非常に力になってくれている。また、日本に拠点がない中で、クールジャパンを通じて日本の生産拠点とのやり取りなどをできることは心強い。私たちの、女性の地位を向上させたいという意思を理解してもらっているため、思いっきり成功させたい」とコメントした。
「エムエムラフルアー」への出資で、クールジャパン機構は昨年夏に新体制になって以降、11企業、合計で約280億円投資したことになる。加藤有治クールジャパン機構専務取締役COO兼CIOは投資の経緯について「ワーキングウーマンという競争の少ない領域であることと、D2Cビジネスモデルであること、そして拠点がニューヨークであるということを重視している。戦略的に重要なパートナーとなった『エムエムラフルアー』に、武器である日本の素材をさらに採用してもらい、世界に羽ばたいてもらいたい」と期待を寄せた。