ファッション

「グッチ」の租税回避問題 次なるターゲットは役員か

 ケリング(KERING)は、傘下の「グッチ(GUCCI)」に関して2011~17年に総額14億ユーロ(約1650億円)の租税回避をしたとしてイタリア税務当局から追及を受けていた件が決着した。業界筋によるとケリングは、追徴課税8億9700万ユーロ(約1058億4600万円)を含む計12億5000万ユーロ(約1210億円)を支払うという。

 イタリア税務当局が次に狙いを定めるのはケリングの従業員だ。情報筋によると、役員クラスもターゲットに含まれているという。また8月にはイタリア歳入局から、10人程度の「グッチ」の従業員にスイスに本当に住んでいるかどうかを確認する書面が届いたという。税金未払いに対する罰金は、合計で数百万ユーロに上るとみられる。

 ケリングはこれに対して「特筆すべき進展はない」として、それ以上のコメントは得られなかった。

 ケリングは「グッチ」の製品をイタリア国内で販売する際に、ケリングの物流子会社でスイスを拠点とするラグジュアリー・グッズ・インターナショナル(LUXURY GOODS INTERNATIONAL)を経由することで、本来であればイタリアで申告するべき収入を優遇税制が適用されるスイスで申告して租税回避をしたとして、イタリア財務警察が捜査していた。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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