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「広告商品化は余裕。だけどつまらない」 MERYの“共感型イベント”から見るメディア主催イベントの形

 女性向けウェブメディア「メリー」を運営するMERYは、新たなイベント「ROOM MERY MATE」をスタートした。昨年2日間にわたり開催した参加者2000人のイベント「LUCKY MERY DAY」とは異なり、参加者20~40人程度のミニイベントだ。すでにメイクのイベントを8月6日、カメラのイベントを8月30日に開催しており、今後も継続的に実施していく。電通との資本提携後初のイベントだが、現在電通とはデータ連携を徐々に進めている段階で、「ROOM MERY MATE」と直接は関わっていないという。同イベントを総合ディレクターとして率いる森茂穂MERYチーフクリエイティブディレクターは「『MERY』でメイクの記事などを見て、実践したいという気持ちなっても、HOWの部分って記事だけでは伝えきれない部分がある。その実践方法を伝えると共に、今まで以上にユーザー1人1人との関係値を深める場を作ろうと考えた。年内は深い体験を作ることを目標に据えてイベントの磨きこみや対象ユーザーの明確化、チームの設計を行っていき、2020年には本格的なマネタイズを目指す」と説明する。

2度のイベント共に手ごたえを感じる

 いずれのイベントも森ディレクターとほか2人の計3人で運営を行い、空間の設計も自前で行っている。「『メリー』には、雑誌のような世界観は存在しない。そういった中で、小規模な空間でどこまで“『メリー』らしさ”を演出できるかは徹底的にこだわった」と森ディレクター。初回は“バースデーメイク”、2回目は“オシャレなシャッター角度”をテーマに選んだ。「第一回は記事をリアルの場で表現したリプレイス型のイベントで、読者のインサイトに響くものにした。第二回はマネタイズを視野に入れ、広告の可能性のある分野、かつユーザーの潜在的ニーズがありそうな領域として『メリー』としては初のファッション・ビューティ領域外のカメラを選んだ」という。いずれのイベントも同メディア内での告知記事で集客は完結しており、特に初回のイベントは当選倍率が約30倍。実際の参加率も90%を超えており、不参加の際にも事前に連絡をするユーザーもいたという。「イベント終了後に『新しい自分に出会えた』という方や、『カメラを買いたい』と言ってくれる方もいた。ユーザーのエンゲージメントの高さを可視化することができたし、実際にユーザーと身近で対面することで、どのような考えを持っているのかなどが確認できた。単に広告商品化するだけだったら容易にできるだろう」と手ごたえを感じているようだ。

広告商品としてのイベントはつまらない

 しかし、「単なる広告商品としてのマネタイズだけではつまらない」とも森ディレクターは語る。「例えば毎週土曜と日曜は『メリー』の日だと思ってもらえるなど、『メリー』のユーザーがすでに形成しているコミュニティーのなかに、われわれがどのように位置づけてもらうべきかを考えていく。彼女たちのエンゲージメントの高さを軸に、どうすれば新たなマーケットを開拓できるのか、チャレンジしたい」。

 確かに広告記事とそれにひもづいたイベントのセットで収益を得るモデルはすでに多くのメディアで確立されているが、広告主ではなく、ユーザーの視点に立ったイベントを行えている媒体は少ない。「多くの場合、ユーザー体験は70点くらいを目指し、設計するが、『メリー』の場合はエンゲージメントの高さゆえに100点満点が最低ラインになってくる。オンライン上では数字勝負になってくるが、実際はユーザーがいかに心地よさを感じてくれるかが大事。そのポリシーをもってわれわれは記事やイベントなど、さまざまなサービスを提供していく」。

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