1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。
今日のニュース:P.12-13「自由の国に愛国心を示すNYデザイナー」
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読み解きポイント「日本で愛国心は生まれるのか」
ニュースのポイント
「Who gets to be American?」と問う「プラバル グルン(PRABAL GURUNG)」、多様性に富んだキャスティングの「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」など、2020年春夏ニューヨーク・コレクションでは、アメリカへの愛国心を示すデザイナーが多かった。来年の米大統領選挙の動向が注目される中、希望と夢の象徴だったアメリカは今後もダイバーシティーとオプティミズムの国であるべきことを、各ブランドがそれぞれの表現方法で訴えた。
AZUはこう読む!
ファッションってやっぱり面白いし、「見た目で判断できる」という誰にでもわかりやすい側面があるからこそ、真剣に向き合わないといけない。そう思えたニューヨーク・コレクションでした。先々週の「モードって何?」特集では「モードは、ファッションは社会を映す鏡」との意見もありましたが、まさにこのシーズンは時代に反旗をひるがえすような主張だったり、優しく自由を掲げる演出だったり、社会情勢に対するメッセージ性が強かった印象です(私はもちろんニュースやSNS上で見ているだけですが笑)。
「愛国心」という言葉は、どうしても日本にいるとピンとこない言葉ですが、一度「異国人」として海外に住んでみると、ほんのり芽生えてきます。それは自分が生まれ育った国に対してもだし、ネパール系アメリカ人のプラバル・グルンのように移住先の国に対しても、です。
私は1年間だけですが留学生としてフランスに住んでいました。それまでは自分が何人かなんて考えたこともなかったのですが、ことあるごとに 「どこ出身?」「日本?中国?韓国?」と聞かれるので、自分が日本人であることをうんざりするくらい痛感しました(笑)。一方で、パスポートは日本だけれど「フランス語を話せばもうフランス人」と言われたり、「それだけパリを知っていたら、もう立派なパリジェンヌ」と言われたり。暮らしていくうちに日本人/フランス人(仮)という二つの感覚が出てきて、それぞれが作用しあうことで自分のバックグラウンドの輪郭がはっきりと浮かび上がってきたのです。だから帰国しても「私は日本人」という感覚は強いし、日本の良いところ・悪いところを客観的に見るように心掛けているし、フランスはいつも贔屓(ひいき)してしまいます(笑)。
現実はこんなお気楽定義ではなく、人種差別や文化差別がめちゃくちゃあるので(つい先日もパリで「国に帰れ!」と突然怒号を飛ばされました)、一概に何人かなんて括れないからこうした主張が出てくるわけですが。
今パリから帰国している途中で、間も無く私の「異国人生活」も終わります。私なりの愛国心が強まっている今、再来週から始まる東京のファッションウイークでは、どんなメッセージが読み取れるのか?そこに社会的な意味はあるのか?ないなら、なぜ生まれないのか?今回はちょっとシビアになって観察してみようと思います。
Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne