1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。
今日のニュース:P.4「低価格ファッション 明暗のワケ」
読み解きポイント「ファッションの民主化を進めてくれてありがとう」
ニュースのポイント
米国発のファストファッションブランドの「フォーエバー 21(FOREVER 21)」の日本撤退が決まった。10月末に全14店舗と自社ECを閉鎖する。1号店が原宿・明治通り沿いにオープンしたのは2009年4月。「安くておしゃれなアイテムが揃う」と若者層に支持されたが、品質の良い国内低価格衣料ブランドやD2C系ブランド、韓国系ブランドの台頭、トレンドの変化、消費者のサステイナビリティー意識の高まりなど、ここ数年で環境が一変したことで業績が悪化。日本に本社機能を置かなかったことにより、ビジネスモデルをローカライズできなかったことも原因の一つだ。ブームをけん引した同ブランドの撤退は、ファストファッションというビジネスモデルの過渡期を表している。
Azuはこう読む!
「フォーエバー 21」が日本に上陸した時、私は高校3年生でした。バイト禁止の学校だったので使えるお金は月数千円程度しかなく、「フォーエバー 21」ですら高いと感じていた気がします。初めて購入したのはおそらく大学生になってからで、その後すぐにデザイナーズブランドの魅力にハマってしまったので、正直あまり購入したことはありません。
サステイナビリティーという側面で色々思う節はあるし、悲しくも大人の疲れた肌質(笑)では耐えられない生地感なので、撤退の理由も理解できます。でもそれは一旦おいといて、トレンドの服が安く手に入り、金銭的にも精神的にもおしゃれを楽しむハードルがぐっと下がったという意味で「ファッションの民主化」を進めてくれたので、「たくさんの人がおしゃれを楽しめる環境を作りたい」と思っている身としては感謝の気持ちもあります。
上陸からたった10年での撤退となりましたが、大衆の洋服の消費方法、ファッションと向き合うマインドを変えたという意味でひとつの重要な時代を築いたブランドです。私はこの10年の間で消費者側からファッションの魅力をさまざまな方法で伝える立場になれたので、大きな節目となるこの瞬間に、ファッション業界に携われて良かったなと思っています。
大量生産・大量消費の時代が終わり、おしゃれな服を着ることだけがファッションではなくなった時代。私たちができることは、わかりやすいトレンドを作り消費者を踊らせることではなく、自分自身が消費者であるという気持ちを思い出しながらファッションを楽しむことなのだなと思っています。
Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne