2020年春夏ウィメンズの海外コレクションが終了した。“ネイチャー”や“セブンティーズ”など、さまざまな要素がシーズントレンドとして浮上したが、実際に日本の街で広がりそうなスタイリングやアイテムはどんなもの?日本市場を熟知した百貨店やセレクトショップのバイヤー、ディレクターに、20年春夏をどう捉えたかを聞いた。
WWD:2020年春夏のファッション・ウイークで、すばり気になった傾向は?
関本美弥子・松屋ファッションディレクター(以下、関本):今シーズンはロンドン、ミラノ、パリを周りましたが、気になったテーマはとにかく“ネイチャー”。ミラノでは「ジル サンダー(JIL SANDER)」や「ファビアナ フィリッピ(FABIANA FILIPPI)」がショーやプレゼンテーションに砂を使っていましたし、パリでは初日の「ディオール(DIOR)」がロンシャン競馬場に設置したテント内に森を再現していました。世の中に地球環境に対する危惧が広がっていて、その気分が市場にまで下りてきているということを感じさせるショーが多かったと思います。
そういった危機意識に対して各ブランドはさまざまなアクションを行っていますが、ファッションとしては、“ネイチャー”由来でフラワープリントが広がっています。といっても、花柄はここ数年、継続的に市場に出ています。今季は華やかな真っ赤なバラなどではなく、野の花や草原の中の草花といったモチーフで、同じ花柄でも新鮮さを出しています。また、綿や麻などの天然素材や、天然素材“風”の合繊の使用も多いです。雑貨では、ラフィアのバッグやシューズが非常によく出ています。色では、ピンク、赤、グリーンが継続で出ていますが、新鮮なのはアップルグリーンです。
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WWD:アイテムやスタイリングとしては、どういったものが日本市場に広がりそうですか?
関本:スタイリングを貫くムードはフェミニンです。(ストリートの時代を経て、フィービー・ファイロ=Phoebe Philoの「セリーヌ=CELINE」がけん引したような)“エフォートレス”のムードが戻ってきているといった声もありますが、当時のような非常にリラックスしたシルエットというよりも、フェミニンで優しく着られるアイテムながら、ウエストはしっかりマークする、といった着こなしが目立っています。そういった流れでアイテムとしてはドレスに注目しており、テントラインのロングドレスや裾がラッフルになったドレスなど、さまざまなデザインが出ています。
19-20年秋冬に続き、ブラウスも売れそうです。今秋冬もボウブラウスは好調で、特に「セリーヌ」の店頭ではボウブラウスとキュロットのスタイリングがヒットしており、キュロットはサイズによっては既に欠品も出ています。20年春夏で気になるブラウスは、フロントはシンプルでバックにボウを垂らしたデザインなど。テーラードジャケットもクラシック回帰の中でここ何シーズンか出ていますが、現状ではなかなかリアルマーケットまでは落ちていない。野の花プリントのドレスにジャケットを羽織るスタイルなどを提案していきたいと思います。
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