ビューティ
連載 新米男性記者ビューティを学ぶ

新米男性記者のためのビューティ講座 スキンケア編

 新卒で入社して3年目、4月にWWDビューティ編集部に異動となり、メンズコスメを担当しています。ビューティ記者としての一歩を踏み出したものの、分からないことだらけで勉強の日々が続いているのですが、見かねたベテラン先輩記者が業界ビギナーの僕にビューティの基本を教える、そんな連載をスタートさせました。

 第2回目は、スキンケア編。メンズコスメ市場が過熱する昨今、男性がコスメなんて……という時代ではなくなってきています。企業が大学生や社会人に向けてスキンケアセミナーを開催するなど、就職・転職活動の場でも肌は第一印象を左右する要因の一つといわれていますが、それは女性に限ったことではありません。しかしながら一言でスキンケアといっても化粧水にはじまり美容液や乳液、はたまた目元用、鼻用保湿クリームなどのパーツケアまで、製品のジャンルは多岐にわたります。僕も毎日スキンケアをしていますが、実際のところ何が正しい用法なのか、そして何が売れているのか……。男性は特に知る機会は少ないですよね。今回の講座であらためて知識を整理していきたいと思います。

先輩F:Kは、ビューティ編集部に異動するまでそもそも“スキンケア”ってなんだと思っていた?

後輩K:なんだと思っていた?う~ん、肌をきれいにすることですか?例えば、肌が乾燥しないように化粧水をつけたり、潤すために乳液をつけたりすることですかね。ビューティ業界に足を踏み入れてから、そのほかにもスキンケア製品には種類がたくさんあるんだと知りました。

先輩F:スキンケアの基本は、洗顔した後に化粧水、そして乳液かクリームがミニマム。少し大人になってきたら美容液はマストかも。美容液の中にも化粧水の前の導入美容液から、目元用、口元用、最近では鼻用の美容液なんてものあったりするの。

後輩K:フェイス用美容液を使うだけで目や口元はケアできないんですか?

先輩F:一般的にフェイス用美容液は、目元や口元などの皮膚が薄く敏感なところは避けて使うようにってなっていて、だからパーツケア用の美容液やクリームがあるのよ。

後輩K:初歩的なことですが、例えば目元に塗るとどういう効果があるんですか?

先輩F:シワが出やすいところだから、そこに効果が期待できたり、目元のくすみやクマのケアにも働きかけてくれるよ。

後輩K:導入美容液ってなぜ使うんですか?

先輩F:その後に使う化粧水の肌への浸透力を高めてくれるんだけど「ランコム(LANCOME)」の「ジェニフィック アドバンストN」はその先駆けかも。でも「WWDビューティ」の百貨店売り上げランキングの常連でもある「コスメデコルテ(DECORTE)」の「モイスチュア リポソーム」もずっと売れているよ!人気の「ソフィーナ IP(SOFINA IP)」の「ベースケアエッセンス」は"土台美容液"という名前で定着したよね。

後輩K:なるほど。一言でスキンケアといっても肌をきれいにするだけではなくて、その後に使う化粧品の効果を高めたり、目や口元などのエイジングケアも含まれるんですね。

先輩F:そう。それらもスキンケアの一つ。季節によって使うものも違って、年末ぐらいから美白用の製品の発売が増えて、春先に乾燥が気になり始めると敏感肌用の物が登場したりするの。冬は保湿に特化した製品と、傾向が異なるのもスキンケアの面白いところかな。季節の変わり目は肌のコンディションが不安定になりやすいしね。

後輩K:ファッションみたいにSS/AW(春夏/秋冬)って分かれているんですね。

先輩F:SS/AWっていうよりは、季節に合わせてさらに細分化されているのがスキンケアって感じかな。

後輩K:なるほど。少し話が戻りますがエイジングケアっていつから始めるべきなんでしょうか。最近、エイジングケアブランドの「アスタリフト(ASTALIFT)」から男性用スキンケアシリーズ「アスタリフト メン(ASTALIFT MEN)」が登場しましたけど、今年26歳になる僕も使用した方がいいんでしょうか?最近眉間のシワが気になり始めまして……。まだ若いうちからエイジングケアをした方がいいのかなって。

先輩F:個人的な意見として、20代でそこまで意識しなくていいと思うの。若いうちは肌のターンオーバーがしっかりしているから、そこに頼ればいいと思っているんだけど。ただ何もケアをしないのはダメだから、保湿はしっかりした方がいいかなぁ。高価なものがいいのかといわれるとそうではない気がする。年齢に合ったもの、20代の人向けを使えばいいのでは。例えば「SK-II」の「フェイシャルトリートメントエッセンス」は、昔は30〜40代以上の人をターゲットにしていたと思う。でも約10年前に当時20代の綾瀬はるかさんをブランドアンバサダーに起用して20代の顧客も増えているよね。「若い時からケアしましょう」っていう戦略。でも実際、「SK-II」は秋田10年肌研究という調査を行っていて、秋田に住む100人以上の女性を対象に20代から何十年も追いかけて肌を見つめているんだけど、明らかに同社の「フェイシャルトリートメントエッセンス」を使っている人の肌の方が美しいの。それを見ると若い頃からきちんとスキンケアはした方がいいんだろうなと思いますよ。

後輩K:何事も継続が大事なんですね。

先輩F:スキンケア製品の特徴って一度使って気に入ったらなかなか変えられないというのが面白いよね。自分に合う製品を見つけるまで“スキンケアジプシー”っていわれるぐらいいろいろ試すけどだいたい3カ月で消費する量だから、スキンケアは3カ月に1度また購入するというサイクル。売り上げのベースが分かるから、コアとなるスキンケア製品を持つと強いよね。

後輩K:売り上げの土台がしっかりするわけですね。、

先輩F:「ポーラ(POLA)」の「リンクルショット メディカル セラム」が爆発的に売れたときは“シワ改善”がトレンドになり、スキンケアの一つとして定着したのよ。これが既存のスキンケアにプラスオンされ売り上げにつながっていくという、面白いところだと思う。

後輩K:固定収入みたいなことですね。3カ月ごとに買うのなら、早めに若いお客さんを獲得したほうが長い期間、売り上げが立ちますね。

先輩F:3カ月に1回、10~20年ずっと買ってくれる人をつかんでいられたらブランドにとってはとてもうれしいことよね。そういうプロモーションも「SK-II」はすごく上手だと思う。人気女優の綾瀬さんを起用したこともそうだし、商品でも何年か前から限定パッケージを出すようになって、新鮮なデザインがリピーターにもつながって、さらに新客も獲得している。コーセーの「ミラノコレクション」みたいにパッケージデザインで買う人もいるよ。あと化粧品のプロモーションの特徴で面白いと思うのが、ロングセラー商品にフォーカスすること。ファッションは新鮮な商品を中心にプロモーションをするけど、ビューティは「アルビオン(ALBION)」の「薬用スキンコンディショナー」や「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」の「ダブルウェア」など、ロングセラーの打ち出しを強めることがある。ロングセラーといっても、まだ商品を知らない人にもアプローチして、買ってもらってさらにロングセラーになっていく。

後輩K:男性が始めるならどんなスキンケアがいいと思いますか?

先輩F:男性用といえば「シセイドウ メン(SHISEIDO MEN)」や「アラミス(ARAMIS)」の「ラボ シリーズ(LAB SERIES)」それから「クラランス メン(CLARINS MEN)」などがあって、「イソップ(AESOP)」や「オルタナ(OLTANA)」なども人気よ。デザイン的にもすごくウケている。意外なところでは、「イプサ(IPSA)」も人気で、シンプルで使いやすいだろうなと思うしパッケージ的にもいいんでしょうね。

後輩K:今、旬なスキンケアトレンドは何でしょうか?

先輩F:最近よく聞くのは“発酵”かな。もちろん「SK-II」の化粧水「フェイシャル トリートメント エッセンス」は米発酵エキスのピテラが配合されていてロングセラーだけど、「アルビオン」が第二の「薬用スキンコンディショナー」として大型スキンケア「フローラドリップ」を出したり、「ハッチ(HACCI)」の新スキンケアライン“HACCI 発酵液”などが登場したよ。

ベスコス本命からプチプラまで、今「発酵コスメ」がアツい理由とは?!

後輩K:発酵をキーワードにした製品は最近多いですよね。発酵は肌にいい?

先輩F:いいと思う。米は国を代表する食べものだし、日本には発酵食品もたくさんあるからね。健康にも肌にもいいと思う。

後輩K:あと、今ってシートマスクも人気があるじゃないですか。これもスキンケアですよね。

先輩F:以前はマスクといえばスキンケアのスペシャルケアで、週に1~2回使用するのが一般的だったけど「サボリーノ」とかが出てきて毎日使うアイテムに定着しつつあるよね。大容量の「ルルルン」や「肌ラボ」の「極潤3Dパーフェクトマスク」とか1枚あたりのコストも低くなって使いやすくなった。「サボリーノ」みたいなものは現代社会で重宝するアイテム。毎日ものすごくいそがしいし、目まぐるしい世の中になったからこそ出てきたのかもって思う。

後輩K:時短アイテムですね。マスクを貼れば、化粧水、美容液、乳液まで完成。「サボリーノ」は洗顔もですよね。洗浄してなおかつ潤すってどういう仕組みなんでしょうか。

先輩F:そのうえ下地の機能のあるものもあって。オールインワンクリームのマスク版みたいなものかな。でもオールインワンだと洗顔はできないからね。すごい仕組みだよね。

後輩K:一度つけたらそれでスキンケアが完結しますもんね。メンズコスメでも最近はよく見ます。洗顔までしてくれるマスクもありますけど、やっぱりスキンケアの前に洗顔をしないと始まらないですよね。

先輩F:ということで、次回は洗顔について話そう。

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