AOKIホールディングスは10月から、紳士服の「アオキ」全店でカジュアルセットアップの打ち出しを強化する。8日には低価格・高機能をウリにしたセットアップの新商品を発表した。これを皮切りに商品の拡充を進めるとともに、全国の約600店舗でカジュアルセットアップの売り場の割合を平均30%拡大。紳士スーツ市場が縮小する中、従来のビジネススーツ一本足打法からの脱却を図る。
新発売の商品2型は、いずれも帝人フロンティアの高機能素材を使用し、動きやすく、自宅での洗濯機洗いが可能。「アオキ」ブランドから発売する“アクティブ テック ザ ハイストレッチセットアップ”(メンズジャケット1万9900円、パンツ7990円、ウィメンズジャケット1万5500円、パンツ8000円)は最新の合成繊維「ソロテックス フルフラン(SOLOTEX FULFLAN)」により、本物のウールのように高級感のある見た目を実現。「オリヒカ(ORIHICA)」のメンズのセットアップ“サードスーツ”(ジャケット1万4800円、パンツ7900円)は裏地にポケットを多数備え、スマートフォンなどの持ち運びにも対応する。
公式サイトや店頭では新商品のプロモーションムービーを公開する。動画では商品を着用した男性がセットアップ姿でBMXやスケートボードを乗りこなすなど、従来のビジネススーツのイメージからの脱却を図る。
今回の商品開発にあたっては、服装自由化を導入した企業の会社員へのアンケートを実施し、多数寄せられた「動きやすいものがいい」「目上の人に会うこともあり、常識的でちゃんとして見られるものがほしい」というニーズを反映した。
また、「服装は自由になったものの何を着ていけばいいのかわからない」という声も多く、そのような客に対する店頭でのサポートも強化する。カジュアルなセットアップを着用して接客する販売員を増やし、マネキンにはジャケットのインナーにTシャツや色付きのポロシャツを着せるなど、イメージが沸きやすくする。
紳士服市場に逆風が吹く中、同社も19年4〜6月期は営業利益が前年同期比66.1%減の2億2800万円、純損益は2億8800万円の赤字を計上するなど苦戦が続く。青木彰宏社長は「スーツは依然、ビジネススタイルの一つではあるものの、そのあり方は多様化している。われわれはビジネスパーソンのスタイルを現場主義で考え、寄り添っていくことで活路を見出したい」と強調する。