「ユニクロ(UNIQLO)」を運営するファーストリテイリングの2019年8月期連結決算(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前期比7.5%増の2兆2905億円、営業利益が同9.1%増の2576億円だった。18年8月期に売上収益では海外ユニクロ事業が国内ユニクロ事業を上回っていたが、当期は営業利益も海外が国内を上回った。「(10月4日に)インドに初出店し、(9月13日には)ミラノにも出店した。いよいよこれから世界に出ていくという実感を持っている。世界中で“LifeWear”が受け入れられている」と柳井正会長兼社長は話す。
海外ユニクロ事業の売上収益は同14.5%増の1兆260億円、営業利益は同16.8%増の1389億円だった。引き続き、中国本土が営業利益で同30%以上増と絶好調だ。香港は天候不順やデモの影響で減収減益となった。インドネシア、フィリピン、タイなどの東南アジア・オセアニアも増収増益。同地域ではインドに続き、12月上旬にベトナムにも初出店を計画する。
一方で、韓国では日本製品の不買運動の影響を受けている。上期(18年9月~19年2月)は増収増益だったものの、下期(19年3~8月)は苦戦、通期で減収減益となった。「韓国事業の戦略見直しは全く考えていない。各国で、その国の人にいい服を明るく提供することは変わらない」(柳井会長兼社長)が、「(不買運動が広がった)7月以降の売り上げは今に至るまで非常に厳しい。この状況がいつまで続くのかは分からない」(岡崎健グループ上席執行役員最高財務責任者)という。北米事業は赤字幅は縮小したものの、目標としていた黒字化はかなわなかった。欧州は増収増益。
国内ユニクロ事業の売上収益は同0.9%増の8729億円、営業利益は同13.9%減の1024億円だった。暖冬が直撃した上期は既存店売上高で同0.9%の減収だったものの、下期はUTやUVカットメッシュパーカ、感動パンツなどがけん引し、同3.5%増へと回復。通期のEC売上高は同32.0%増の832億円で、全体に占めるECの売り上げ構成比は前期から2.2ポイント上昇し9.5%となった。「ECが本業の会社となる」(日下正信グループ執行役員)と意気込む。
ジーユー事業の売上収益は同12.7%増の2387億円、営業利益は同139.2%増の281億円と過去最高業績となった。引き続き、品番数を絞り込んでマストレンドにフォーカスし、素材の集約などを進めた点や、テレビCMなどによる販促が成果につながった。
20年8月期は、売上収益で同4.8%増の2兆4000億円、営業利益で同6.7%増の2750億円を目指す。ちなみに、背中を追う「ザラ」のインディテックスの2019年1月期売上高は3兆2419億円、「H&M」のH&Mヘネス・アンド・マウリッツの18年11月期売上高は2兆5248億円だった。