ライトオンの2019年8月期決算は、本業のもうけを示す営業損益が21億円の赤字で、前期の12億円の黒字から転落した。同社は18年8月期決算で2年ぶりに黒字化したが、19年8月期は売上高も前期比3.7%減の739億円だった。閉鎖店舗および低迷店舗についての減損損失など36億円の特別損失も計上したため、純損益は58億円の赤字になった。
ライトオンは18年4月1日付で当時38歳の川﨑純平氏が社長に就任。本社機能を茨城県つくば市から東京の京セラ原宿ビルに移したり、自社ECにAI(人工知能)を導入してリニューアルするなど改革を進め、さらに“ジーンズセレクトショップ”への転換、プライベートブランド「バックナンバー(BACK NUMBER)」の強化を掲げたが、「重要な部分で変われなかった」。さらに「供給過多による値引きロスが足を引っ張った。一方で品ぞろえが十分でないなど、量のコントロールができなかった。またライトオンとして売るべきものが不明瞭だった」と振り返る。今後は品番数を大幅に絞り込み、セレクトブランドの見直しも図る。
同社は、増税前の駆け込み需要があった9月に既存店客数が前年比31.9%減、既存店売上高も同21.4%減だった。原因について川﨑社長は「変革が急過ぎた。ライトオンらしさとしてアメカジを定着させようとしたが、結果としてトレンド要素を追えず、強化すべき女性客を取りこぼした」と反省する。しかし「危機感はあるが焦ってはいない」と言い、5月の通期予想をさらに下回った純損益についても「改革に伴う“痛み”であり、想定内」とした。
「当社は1980年創業の歴史があり、47都道府県に出店済みで473店舗を抱えるスケールメリットを持つ。しかし、それらが生かし切れていない。不振を恐れず、改革を断行したい」と話し、20年8月期の業績として売上高660億円(前期比10.8%減)、営業利益6億円を掲げる。