高島屋の2019年3~8月期連結業績は、売上高に相当する営業収益が前年同期比2.6%増の4531億円、営業利益が同横ばいの134億円、純利益が同41.2%増の124億円だった。最終増益には自社ビルの売却益が寄与した。
主力の百貨店業は、右肩上がりを続けてきた免税売上高が失速している。国内富裕層による増税前の高額品の駆け込み消費などもあり増収としたが、販管費増や商品利益率の低下で営業減益となった。
百貨店業の営業収益は同1.5%増の3884億円、営業利益は同3.5%減の42億円だった。カテゴリー別の売上高は紳士服・洋品が同5.2%減、子供服が同3.2%減と苦戦したものの、婦人服・洋品が同2.0%増になった。売り場のテコ入れとして、独自性のある編集売り場の構築に注力しており、日本橋高島屋S.C.ではオケージョンドレスを集めた「ドレスアップクローゼット」、プレステージ雑貨をセレクトする「ギャラリー ルシック」を導入した。
免税売上高は米中の貿易摩擦や元安などを背景に、中国人客の消費が減退したことで同0.8%減と久々にマイナスに転じた。関西の店舗は訪日客のリピーターの消費で堅調だが、観光客のまとめ買いが中心の関東は新宿店では落ち込んだ。
海外事業では、6月に発表した上海店の撤退を9月に取りやめた。撤回理由は「家賃交渉や行政の支援により、赤字を止められるめどがたったため」(村田善郎社長)で、23年2月期の黒字化を計画する。
同社はインバウンドの鈍化を受け、20年2月期予想を下方修正する。営業収益が前期比2.2%増の9330億円、営業利益が同5.0%増の280億円、純利益が3.4%増の170億円を見込む。村田社長は、免税売上高に関しては「今後の大幅な伸長は難しい」との見方。「下期からは構造改革のピッチを上げていく。大型店にもまだまだメスを入れる余地はある」と収益体制の構築を急ぐ。