アーティストのVERDYが10月13、14日の2日間、さまざまなブランドやアーティストをコラボレーターに招いたイベント「VERDY HARAJUKU DAY」を開催する。本来は12日から3日間の開催予定だったが、台風19号の接近に伴い規模を収縮する形となってしまった。しかし、「ナイキ SB(NIKE SB)」から「ヒューマンメイド(R)(HUMAN MADE(R))」「マジックスティック(MAGIC STICK)」、村上隆、KYNE、河村康輔、Creative Drug Store、tokyovitaminまで、30組以上の豪華コラボレーターが参加する“お祭り”であることに変わりはない。
そして、EXILEや三代目J Soul Brothersでパフォーマーを務めるNAOTOが手掛ける「スタジオ セブン(STUDIO SEVEN)」のディフュージョンライン「オネストボーイ(HONESTBOY)」も、コラボレーターのうちの1つとして参加している。開催直前、東京・中目黒にある「スタジオ セブン」旗艦店で、「VERDY HARAJUKU DAY」の開催理由やコラボに至った経緯、“HONEST DELI”と名付けられたコレクション名の由来まで、2人に話を聞いた。
WWD:「VERDY HARAJUKU DAY」の開催理由を教えてください。
VERDY:ここ数年、ファッションウイーク期間中のパリや「コーチェラ(Coachella)」のタイミングのロサンゼルスなど、その土地が世界的に盛り上がるタイミングで訪れていたんです。そこではショーをやるブランドもいれば、ショーはやらないけどイベントやパーティーを開いていたり、とにかく人が集まっていたんです。日本にもストリートカルチャーが好きなアーティストやデザイナーたちが毎年のように来日しますけど、それは全部バラバラのタイミング。だから決まったタイミングでみんなが来日する日があればと思ったのがきっかけです。東京ファッションウイークはストリートと少し離れていると感じるし、「ファッションズ・ナイト・アウト(FNO)」も個々で盛り上がってる気がしていたので。
WWD:東京を盛り上げようと?
VERDY:そうですね、自分がどうにかして東京を盛り上げられないかなという感じです。世界は近いはずなのにまだ壁があるんですよ。日本では人気だけど海外ではあまり知られてないブランドがあれば、LAで人気でも日本人が知らないブランドもたくさんある。音楽も今勢いのある若い子たちがたくさん東京にいるけど、アメリカでライブはしない。だから「ビーツ(BEATS)」にサポートしてもらってアーティストやDJを呼んだイベントを行います。あとは、もともとアートを作っていたので村上隆さんやKYNEくんたちアート関係の人々にも声をかけて参加してもらいました。
WWD:コラボレーターのジャンルの幅が広いのが印象的です。
VERDY:ストリートが好きなので大枠はストリートなんですけど、一つのジャンルに偏ると僕が思っているようなおもしろいことが起きないと思ったからです。僕が誰かと一緒に何かやる時は、自分でできることはやらないようにしていて、一緒にやるからこそおもしろいアイデアが出るんですよね。
WWD:コラボレーターには何かしらの共通項があると思いますが、それは?
VERDY:“人を知っている”、ですね。有名だからとか全く知らないけどコラボするというのは絶対にないです。人と知り合って話をして、関係性を育みいいと思ったら一緒に何かをやる。それがストリートカルチャーなんじゃないかなって。
WWD:NAOTOさんはVERDYさんと初コラボですが、いつから関係があったのでしょうか?
NAOTO:3年前の「コンプレックスコン(ComplexCon)」ですね。「スタジオ セブン」を取り扱っているLAのセレクトショップ、ジャスト ワン アイ(Just One Eye)でパーティーをやっていたらVERDYが遊びに来たんです。
VERDY:その日、友達のDJがパーティーに出るって言うから遊びに行ったら、それが「スタジオ セブン」のパーティーで(笑)。それから展示会や店舗に行ったり、NAOTOくんがポップアップに来てくれたり、ちょっとずつコラボの話を進めてたんです。NAOTOくんとはグラフィックのデザインなどですごい共通するものを感じたし、単純にコラボしたらおもしろい化学反応が起きるんじゃないかって感じたんですよね。
NAOTO:VERDYとは同世代で、好きなものや影響を受けてきたものがほとんど一緒なんですよ。でも僕とVERDYはそれぞれ違った角度で見てきて、今こうして一緒にコラボできたことは不思議だけど自然だと思うし、最高なものを作ることができました。
WWD:コラボコレクション“HONEST DELI”の名前の由来は?
NAOTO:もともと僕がNAOTOとは別に、名前を英語に変えたHONESTBOYとしてNIGO(R)さんやPOGGYさんとコラボしたりブランドを持っていて、そこから派生する形で生まれました。それでVERDYと“HONEST”の後ろにつける言葉を考えている中で、一番しっくりきたのが“DELI”だったんです。
VERDY:“HONEST DELI”の名前が決まったのは2年前くらいで、それからお互いがいろいろ行ったり見たりするから会うたびに新しいアイデアがどんどん重なって、今ようやく落ち着いて発売を迎えました。
WWD:メインカラーを赤色とした理由は?
NAOTO:特に意識はしていないんですが、「赤色は食欲をそそる」という話を聞いたことがあったので自然とそうなったんだと思います。
WWD:「スタジオ セブン」の店内にはショップインショップのような什器を設置していますね。
NAOTO:最初に“HONEST DELI”のイメージを共有したのがお店だったんで設置しました。
VERDY:什器が設置できなければ販売しないことも考えたくらい、什器ありきのコレクションなんです(笑)。最初は移動車で販売することも考えたんですが、実現可能なレベルとしてショップインショップになりました。
WWD:アイテムは小物類を中心に型数が多い印象です。
VERDY:アメリカにある架空のフードカーやキオスクのグッズみたいなノリなので、いつも作っているTシャツやフーディーとは別に、コンセプトに寄せた普段作らないものを作りたかったんです。ただ無理に作ろうとはせず、「このグッズがあったらいいよね」と自然に決定しました。だからボリュームも意識せずに、気付いたら型数が増えていた感じです。
NAOTO:“DELI”なので、フードと絡めたグラスやトレイなどあんまり見ないアイテムが出来上がりましたね。
WWD:だからキャンディやチョコレートなどの食べ物も用意したんですね。
NAOTO:最初はホットドックなどを提供することも考えたんですけど、コンセプトに立ち返りアメリカっぽいお菓子のキャンディとチョコレートを用意しました。チョコレートはエテ(ete)さんにお願いしたもので、“HONEST DELI”を通して日本の素晴らしい食を、知って食べて身近に感じてもらうというのが自分の中で裏テーマとしてあります。
WWD:キーホルダーは今ではあまり見ない形ですが。
NAOTO:このキーホルダーは僕らの世代だからこそのもので、小学生の時にあったJリーグのキーホルダーに質感などを似せてるんです。
VERDY:今まで作ってきたキーホルダーはラバーが多く、こういったキーホルダーは最近見ないので作ってみました。
WWD:梱包にもこだわっているそうですね。
VERDY:Tシャツは海外のシリアルボックスをイメージしました。これをもらったら自分でもうれしいし、“HONEST DELI”ではワクワクするものを作りたかったんです。
NAOTO:僕自身も箱入りのTシャツを部屋に飾っていたり、こういった売り方って男心をくすぐるんですよね。
WWD:今後も“HONEST DELI”は継続していくんでしょうか?
NAOTO:当初は「あなたの街まで“HONEST DELI”が!」のような移動車のイメージだったので、いつかは作りたいですね。移動販売飯屋はよくありますけど、移動販売服屋はあまりないので。
VERDY:高速を走っていたら「あ、“HONEST DELI”の車だ」みたいになってほしいです(笑)。移動車のほかにもレストランとしてやっていけるポテンシャルもあるだろうし、可能性が無限にあるプロジェクトだと思っています。次にいつやるかもこれっきりなのかも決まっていませんが、すごくいいプロジェクトがスタートしたと思っています。
WWD:お互い初めて一緒に仕事してどうでしたか?
NAOTO:VERDYとは波長が合うというか、モノ作りに対しての思いや製作過程で共感できる部分がすごいあったし、こだわりや姿勢の面は勉強になりました。お互いがこだわる部分に頑なにこだわったからこそ、本当に納得のいくものができたと思っています。準備期間が2年って聞くと長いですが、今考えると2年は必要な時間だったと思いますね。いきなりのコラボだったら今回の“HONEST DELI”は絶対に生まれなかったはずです。
VERDY:NAOTOくんと仕事することで、“HONEST DELI”をきっかけに僕のことを知ってくれる人もいるだろうし、逆に「スタジオ セブン」を知る人もいる。だからこそコラボすること自体がおもしろいと思ったし、中途半端なものを出したくなかった。名前も、アイテムも、売り方も、見せ方も、NAOTOくんとだからこそ全てにこだわることができました。
NAOTO:“HONEST DELI”は普通のコラボと違う、「こんなコラボもあるんだ」って思ってもらえるものが作りたかったし、できたと思っています。
VERDY:NAOTOくんの言う通りで、コラボなんですけどコラボというよりも一つのものを一緒に作った、っていう方が“HONEST DELI”に関しては近いですね。お互いがスマイルマークをモチーフとして使っているので、それを合体させたグラフィックも実際に作って「これいいじゃん」みたいになったんですけど、僕らが目指していたのはそれじゃないネクストレベル。“HONEST DELI”はお互いのブランドにも良い影響を与えただろうし、今までにないコラボの形なのかなって思ってます。