カール・ラガーフェルドは9月末から、ヨーロッパと中国で新聞「ザ・カール・デイリー」を15万部発行している。彼のスケッチや言葉遊び、写真、お茶目なジョークなどを紹介する紙面で、自身のブランドの新商品とともに配布。発行の理由についてカールは、「今まで誰もやっていなかったから。面白くてモダンで、大それたものではない。どちらかというとプライベートジョークといった感じ。皮肉も込めたが、同時にプロモーションの手段でもある。真面目に受け止めてもらいたくはないが、実際は大真面目だ」と話す。
カールは、「私は紙オタクだ。スケッチに必要だから紙は常に持っている。私にとって、自分を表現するのに必要不可欠なものだ。モダンなiPadもいい。しかし紙に直接触れる感覚は、金属やガラスに触れるのとは別の良さがある」と話す。紙媒体の存続については、「テレビが浸透したからといって映画はなくならなかったし、レコードのせいでオペラがなくなることもなかった。しかし出版社は、雑誌存続のためにいいものを作る努力をしなければならない。内容が大事。つまらない雑誌ほど最悪なものはないからね」。さらに彼は、今のジャーナリストの多くはトレンドを重視する傾向にあると指摘。ファッションや技術、文化について十分な知識も持ち、正しく伝えている人は少ないという。