レナウンは15日、希望退職者の募集を中止すると発表した。同社は8月23日付で店頭販売職を除く従業員の約2割に相当する150人程度の希望退職者の募集を発表した。労使間での合意を経た上で、10月上旬まで募集し、希望者は11月30日に退職する予定だった。だが、事業環境の変化や従業員の意見などを勘案して再検討した結果、これを取り止めることになったと説明する。大手企業が一度発表した希望退職者の募集を取り下げるのは極めて異例だ。
同社の説明する「事業環境の変化」とは、レナウンの発表後に明らかになった競合他社や百貨店・量販店のリストラを指す。レナウンと同じように百貨店を主販路とするオンワードホールディングスの大量閉店、セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武とイトーヨーカ堂による大規模な店舗閉鎖の発表などによって、レナウンの構造改革の前提が崩れ、中長期計画の見直しに至った。
レナウンによると、従業員への説明会が想定よりも長引いたため、「実際に社内での募集はまだ行われておらず、影響はほとんどない」(同社広報担当)という。