ファッション

バロック19年3~8月期は夏物不振もプロパー販売注力で増益 課題は6.6%減のEC

 バロックジャパンリミテッドの2019年3~8月期連結業績は売上高が312億円、営業利益が20億円、純利益が12億円だった。同社は前期に決算期を1月期から2月期に変更し、18年2月~19年2月までの13カ月決算となった。参考として、当期実績を18年3月~8月と比較すると、売上高は前期比2.8%減、営業利益が同18.3%増、純利益は同35.4%増だった。

 ECを含む国内既存店の売上高は同2.1%減。夏に低気温が続いたことにより夏物の販売不振やセールの長期化が減収要因となった。「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」など主力のSCチャネルの売上高が同3.9%減、「マウジー(MOUSSY)」などのファッションビル・駅ビルチャネルも同4.7%減と苦戦した。ただし、「3~5月は好調だった」(村井博之社長)ことから3~8月を通すと増益となった。春物のプロパー販売注力による粗利率の改善、販管費の抑制が寄与した。

 他社ECが軒並み2ケタ成長を続ける中、国内EC単体の売上高が同6.6%減となった。18年9月の安室奈美恵の引退に因んだ「スライ(SLY)」の“ベビドンコート”の復刻版のようなヒット品番を作れなかったことに加え、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」の「ゾゾアリガト」サービス開始に伴い在庫を引いたことなどが影響した。村井社長は、「当社は実力のある販売員が多く在籍し、店舗で売れるあまり、ECを軽視してきてしまった。また、グローバルなECの基幹システムを作るための投資、ベンダーの選定に足踏みをしているうちに、利便性の改良が後手に回っていた」と反省。ECの導入からこれまでを「失われた10年」と形容し、「これまでの自社EC第一主義を改める。体制変更となったZOZOやファッション販売を強化する楽天などの活用策も模索していく」とした。

 靴小売のベル・インターナショナルと合弁で運営する中国事業は同5.9%増。「日本と現地で流行ファッションのタイムラグがなくなりつつある」(村井社長)ことから日本企画商品を増やす施策が奏功した。

 下期も引き続き、アウターなど秋冬物の適時適量の投入によるプロパー販売に注力する。一部ブランドでは人工知能(AI)によるMD支援システムなども試験導入する。また、サステイナブルな商品企画にも本腰を入れ、19~20年秋冬のダウンジャケット商品の8割に、国内ふとんメーカーなどから調達したリサイクルダウンを使用する。自社ECと店舗の在庫一元化を進め、EC在庫の店舗決済などのシステムも導入する。

 中国事業では販売商品の日本企画比率を商品構成の9割にまで高める。米国で好調の高級デニムライン“マウジー ビンテージ(MOUSSY VINTAGE)”に加え、「エンフォルド(ENFOLD)」は海外3都市でのポップアップストア(8月~11月)を皮切りに海外卸を強化する。

 20年2月期の業績予想は、売上高679億円、営業利益46億円、純利益28億円で据え置く。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

メンズ32ブランドの猛暑に負けない推しスタイル 2025年春夏メンズ・リアルトレンド

「WWDJAPAN」12月16日号は、2025年春夏シーズンのメンズ・リアルトレンドを特集します。近年は異常な暑さが続いており、今年の夏は観測史上最も暑い夏になりました。ファッション界への影響も大きく、春夏シーズンはいかに清涼感のあるスタイルを提案するかが大切になります。そこで、セレクト各社やアパレルメーカーの展示会取材、アンケートを通して全32ブランドの推しのスタイルを調査し、メンズのリアルな傾…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。