ファッション

米国靴「ソレル」が日米で初のショー開催 ファッション化をアピール

 「ソレル(SOREL)」は、1962年にカナダ中東部のオンタリオ州で創業したウインターブーツブランドだ。72年に誕生したアイコンモデルの“カリブー(CARIBOU)”は、メンズファッションのワードローブとして定着している。しかしこの動きは「日本に限ったものだ」と、2000年に同ブランドを傘下に収めたコロンビアスポーツウェア(COLUMBIA SPORTSWEAR)の日本法人コロンビアスポーツウェアジャパンのマッスィモ・ラッザリ(Massimo Lazzari)社長は言う。北米ではヒール付きシューズなどが主に女性にファッションとして受け入れられており、日本も「大きくファッション化に舵を切ろうとしている」。それを強く印象付けるために、10月にニューヨークと東京で初めてのランウエイショーが開催された。

NYで働く100人の女性が
1マイルを行進

 先行してショーを開催したのはニューヨークだ。10月2日にミートパッキング地区で、リアルタイムに2019-20年秋冬のシューズを購入できる“シーナウ・バイナウ(SEE NOW, BUY NOW)”スタイルでショーを行った。ミートパッキング地区はその名の通り精肉工場跡地で、再開発に伴いスタイリッシュなレストランやセレクトショップが進出。一方で昔ながらの石畳が残り、鉄道の高架部分を生かした空中庭園“ハイライン”はローカルにも観光客にも愛されている。そしてミートパッキング地区には「ソレル」の旗艦店がある。このニューヨークを象徴するエリアで、100人の女性が1マイル(約1.6km)を練り歩いた。「ザ・マイルロング・ランウエイ」と名付けられたショーでは、モデルではなくニューヨークで働く一般の女性たちを起用した。人種も年齢も体形もさまざまで、起業家からクリエイターまで職種も多様だ。ダイバーシティーを表現するとともに、彼女たちが屋内ではなく公道を歩くことで「ソレル」がファッションと実用を融合することを示した。

ショーのスタイリングは
ケイト・ヤングが担当


キャットウオークを歩いた女性たちは、そのまま街に飛び出した。ミートパッキング地区に設定されたコースは石畳や階段、水の流れなど変化に富み、「ソレル」の歩きやすさをニューヨーカーにアピールしながら1マイルを行進した

 スタイリングを担当したのはトップスタイリストのケイト・ヤング(Kate Young)だ。ヤングは女優のナタリー・ポートマン(Natalie Portman)やセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)らハリウッドスターを何人も担当している。服は、百貨店ノードストローム(NORDSTROM)傘下のオンライン・パーソナル・ショッピングサービス「トランク・クラブ(TRUNK CLUB)」が提供した。ヤングは、「ブランド初のショーに関われたことは名誉であり、100人の女性それぞれを『ソレル』の新作シューズを起点にスタイリングした。皆が自信を持って『ザ・マイルロング・ランウエイ』を歩けるよう、ライフスタイルや好みを聞き取ることから始めた。一般的なショーとは大きく異なるスタイルだったが、何カ月もかけて準備してきたことが結実して感無量だ」とコメントした。モノトーン中心のコーディネートは、彼女たちの私服に見えるほどなじんでいた。

ファッション化により
売り上げは約1.7倍に

 マーク・ニナウ(Mark Nenow)=ソレル社長は、「『ソレル』は50年以上の歴史を持ち、かつてはウインターブーツブランドとして知られていたが、いまやファッションショーを行うに至った。この変革をとても喜んでいる」と述べた。今回のショーを総指揮したナタリー・ヘイズ(Natalie Hayes)=マーケティング・ディレクターは企画意図について、「モデルではなく働くニューヨーカーが歩くことで、『ソレル』がリアルな女性たちに寄り添うブランドであることを打ち出した。1マイルのコースは、どんなに長い道のりでも快適に歩ける『ソレル』の機能性を見せるためのものだ」と話した。

 「ソレル」変革のきっかけは、00年のコロンビアスポーツウェアによる買収だった。ニナウ=ソレル社長は「その後、10年間かけてファッション化を進めた」と振り返る。同ブランドは11年にウエッジソールブーツを発売し、これが北米で女性に支持された。続けて14年にニューヨークに旗艦店をオープン。17年春夏にはサンダルを発売し、18-19年秋冬にはスニーカーラインをローンチした。これに合わせて売り上げも伸長し、18年度はグローバルで約2億6000万ドル(約280億円)を記録した。これは11年度の約1.7倍の数字だ。

NYに続いて東京でもショーを開催

 日本では10月9日に恵比寿のガーデンルームでショーを行った。ステージには階段を5つ設けて、モデルがそれを上り下りすることで「ソレル」のファッション性と機能性をアピールした。またステージには3つのモニターを置いて、モデルと映像をシンクロさせる演出も見られた。ショー後に、ラッザリ=コロンビアスポーツウェアジャパン社長に今後の日本での展開について聞くと、「セレクトショップや百貨店など、ファッションアカウントを開拓したい。一方で、単独店を21年までに作りたい。現在はポップアップストアなどで“ファッションの「ソレル」”の認知向上に努めている」と述べた。

INFORMATION
【「ソレル」ポップアップストアの予定】

ルミネ新宿 9月3日〜1月31日
東京ソラマチ 10月10日〜1月29日
二子玉川ライズ 11月8日〜1月26日

問い合わせ先
コロンビアスポーツウェアジャパン
0120-193-803