大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。
今日のニュース:P.7「シャネルが専門アトリエ3社の少数株式取得」
読み解きポイント 代表者の高齢化、後継者不足、黒字廃業の状況に向き合う
ニュースのポイント
シャネル(CHANEL)は、以前から取引のある会社、伊レナート・コルティ(RENATO CORTI)の40%、伊マビ(MABI)の同じく40%、仏グランディス(GRANDIS)の34%の株式を取得。投資合計は1億6900万ドル(約179億円)。3社はオーナーが引退を考えており、新たな投資先を探していた。シャネルの狙いは「優良なサプライヤーを存続させ守ること」。今後も、買収や特定の調達契約を講じて、対応することを視野に入れる。
CKRはこう読む!
「50.5%」。国内で黒字廃業した企業の割合です。中小企業白書(2016年度)によると、休廃業・解散した企業6450社を対象に売上高経常利益率を調査したところ、半数以上が黒字でした。また、18年に休廃業・解散した企業の代表者年齢を調べると、60代が29.0%、70代が37.5%、80代以上が17.2%で、60代以上の代表者が83%を占めています。
そして今、多くの企業は後継者不足という課題を抱えています。日本企業の後継者不在率は66.4%(帝国データバンク調査:2018年)。3社に2社は、後継者問題を抱えているということです。日本国内でも業績が優れているにも関わらず、代表者の高齢化、後継者不足により、廃業・解散せざるを得ない企業が多く存在しています。
本記事のインタビューで、シャネル・ファッション部門のプレジデントは「ツイードを生産する会社がなくなってしまったら『シャネル』のシグネチャーであるツイードが作れなくなってしまう」と話しています。こうした状況は、決して対岸の火事とは言えないかもしれません。
衣料品の国産比率は、数量ベースで3%程度(金額ベースだと26%程度)と言われており、国内生産は縮小傾向です。大量消費社会に対する問題意識が向上し、社会の持続的な発展が叫ばれています。バリューチェーンとしてのサステイナブルを掲げ、優良な製造技術をもつサプライヤーと統合・提携する企業の話は、今後、増えてくるかもしれませんね。
CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中