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右.“トゥッティフルッティ”スタイルのネックレス。カルティエ。2016年。個人蔵 PHOTO:VINCENT WULVERYCK © CARTIER
「カルティエ(CARTIER)」のハイジュエリーや時計を集めた展覧会「カルティエ、時の結晶」が東京の国立新美術館で開催中だ。同展では1970年以降に作られた現代の作品にフォーカス。展示されている約300点のうち約半数が70年以降の現代の作品で、ブランドヒストリーを振り返る回顧展とは異なった、縦横無尽に時空を結びつく構成がユニークだ。
HIROSHI SUGIMOTO+TOMOYUKI SAKAKIDA
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杉本博司「逆光時計」。2018年。作家本人により逆行化され修復された1908年製造の時計。製造はフォンタナ・チェーザレ・ミラノ
展示風景 序章「時の間」ではミステリークロックなどを展示
展示風景 第1章。ヒノキの展示ケースが配置されたヒノキの香りがほのかに漂う空間
展示風景 第2章。荒々しい大谷石とクラフツマンシップを駆使して制作された作品の対比が興味深い
展示風景 第3章。未来的なフォームのケースに世界中の文化にインスパイアされた作品を展示
展示風景 第3章 トレジャーピース。古美術とともにトレジャーピースを展示
新素材研究所/杉本博司+榊田倫之が手掛けた、チャプターごとに変化する斬新な会場構成も話題になっている。入り口には杉本博司の「逆光時計」が置かれ、序章「時の間」では日本古来の羅(ら)という薄織物で作られた幻想的な光の柱に出迎えられる。第1章「色と素材のトランスフォーメーション」では、“トゥッティフルッティ”と呼ばれる色とりどりの鮮やかな作品をヒノキの展示ケースで魅せている。大谷石をダイナミックに配置した第2章「フォルムとデザイン」の空間では、トリックアートのような視覚効果を持つ作品や偶然から生まれたユニークなフォームの作品を紹介している。第3章の「ユニヴァーサルな好奇心」では、彗星の軌道を形態化したような楕円の展示ケース内に、日本や中国、中東、エジプトからアフリカに至るまでのモチーフを巧みに取り入れた作品が並べられ、「カルティエ」のマルチカルチャーなインスピレーション源に触れることができる。トレジャーピースと古美術を配した空間も見どころだ。
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左.第2章「フォルムとデザイン」から。ヘアオーナメント。カルティエ パリ。1902年。カルティエ コレクション
右.第2章「フォルムとデザイン」から。1902年製のヘアオーナメントにモダンな解釈を施したブレスレット。カルティエ。2018年。カルティエ コレクション
左.第3章「ユニヴァーサルな好奇心」から。“タイガー”ネックレス。カルティエ。1986年。カルティエ コレクション
右.第3章「ユニヴァーサルな好奇心」から。1986年の“タイガー”ネックレスの立体的なトラを平面で表現したウオッチ。カルティエ。2018年。個人蔵
左.第3章「ユニヴァーサルな好奇心」から。“スカラベ”ブローチ。アンティークのブルーファイアンス(青い釉薬をかけた陶器)が使用されている。カルティエ ロンドン。1925年。カルティエ コレクション
第3章「ユニヴァーサルな好奇心」から。ゴールドとダイヤモンドでモダンに仕上げた“スカラベ”ネックレス。カルティエ パリ。1990年。カルティエ コレクション
左.「パンテール」のコーナーから。パンテールパターンウオッチ。カルティエ パリ。1914年。カルティエ コレクション
右.“パンテール”クリップブローチ。カルティエ パリ。
「カルティエ」のデザインは、いつも先進的であると同時にタイムレスでもある。冒頭に登場した“トゥッティフルッティ”スタイルのネックレスにも見られるように、時代と共に進化するデザインの対比が面白い。第2章で登場するベル・エポック様式が席巻していたさなかの1902年製で、アールデコの到来を先取りしたかのようなヘアオーナメントとその線や構造、ボリュームに焦点を当てモダンに進化させたのが、2018年製のブレスレットだ。また、アイコニックなパンテールも1914年に登場した際は平面的なヒョウ柄だったが、49年の“パンテール”クリップブローチではリアルな3Dに進化している。時代を超えた「カルティエ」スタイルの比較も展覧会の見どころの一つだ。
個人の所蔵品を展示
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「カルティエ、時の結晶」は、「カルティエ」が時間をかけて世界各国のコレクターから借りた作品が全体の展示品の約半数という意欲的な展覧会だ。個人蔵の作品はなかなか目にする機会がなく、同展でしか見られないものが数多く含まれている。
場所:国立新美術館 企画展示室 2E
住所:〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
期間:12月16日まで
休館日:毎週火曜日(祝休日は翌平日)
開館時間:10:00~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
観覧料(税込):一般1600円、大学生1200円、高校生800円、中学生以下無料
カルティエ
03-5777-8600(ハローダイヤル)