Cartier, Crystallization of Time
1970 年以降の作品にフォーカス
「カルティエ(CARTIER)」のハイジュエリーや時計を集めた展覧会「カルティエ、時の結晶」が東京の国立新美術館で開催中だ。同展では1970年以降に作られた現代の作品にフォーカス。展示されている約300点のうち約半数が70年以降の現代の作品で、ブランドヒストリーを振り返る回顧展とは異なった、縦横無尽に時空を結びつく構成がユニークだ。
Dynamic Presentation by N.M.R.L./
HIROSHI SUGIMOTO+TOMOYUKI SAKAKIDA
斬新な会場構成とハイジュエリーの競演
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新素材研究所/杉本博司+榊田倫之が手掛けた、チャプターごとに変化する斬新な会場構成も話題になっている。入り口には杉本博司の「逆光時計」が置かれ、序章「時の間」では日本古来の羅(ら)という薄織物で作られた幻想的な光の柱に出迎えられる。第1章「色と素材のトランスフォーメーション」では、“トゥッティフルッティ”と呼ばれる色とりどりの鮮やかな作品をヒノキの展示ケースで魅せている。大谷石をダイナミックに配置した第2章「フォルムとデザイン」の空間では、トリックアートのような視覚効果を持つ作品や偶然から生まれたユニークなフォームの作品を紹介している。第3章の「ユニヴァーサルな好奇心」では、彗星の軌道を形態化したような楕円の展示ケース内に、日本や中国、中東、エジプトからアフリカに至るまでのモチーフを巧みに取り入れた作品が並べられ、「カルティエ」のマルチカルチャーなインスピレーション源に触れることができる。トレジャーピースと古美術を配した空間も見どころだ。
Dialogue between the Old and the New
「カルティエ」スタイルの対話
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「カルティエ」のデザインは、いつも先進的であると同時にタイムレスでもある。冒頭に登場した“トゥッティフルッティ”スタイルのネックレスにも見られるように、時代と共に進化するデザインの対比が面白い。第2章で登場するベル・エポック様式が席巻していたさなかの1902年製で、アールデコの到来を先取りしたかのようなヘアオーナメントとその線や構造、ボリュームに焦点を当てモダンに進化させたのが、2018年製のブレスレットだ。また、アイコニックなパンテールも1914年に登場した際は平面的なヒョウ柄だったが、49年の“パンテール”クリップブローチではリアルな3Dに進化している。時代を超えた「カルティエ」スタイルの比較も展覧会の見どころの一つだ。
Rare Presentation of Private Collection
あまり目にすることのできない
個人の所蔵品を展示
「カルティエ、時の結晶」は、「カルティエ」が時間をかけて世界各国のコレクターから借りた作品が全体の展示品の約半数という意欲的な展覧会だ。個人蔵の作品はなかなか目にする機会がなく、同展でしか見られないものが数多く含まれている。
INFORMATION
■「カルティエ、時の結晶」
場所:国立新美術館 企画展示室 2E
住所:〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
期間:12月16日まで
休館日:毎週火曜日(祝休日は翌平日)
開館時間:10:00~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
観覧料(税込):一般1600円、大学生1200円、高校生800円、中学生以下無料
問い合わせ先
カルティエ
03-5777-8600(ハローダイヤル)